ビジョン実現コンサルティング

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今週のコラム 後継者がいなければ「儲かる商売の仕組みづくり」で事業売却すべし!

「私も、夫も二代目としてそれぞれの会社を継がなければならないのですが、家族経営でなんとかなっている状況ですので、あまり前向きに考えられません。といっても、お互いに一人っ子同士で兄弟姉妹がいませんので、私たちが継ぐ以外のことはなかなか考えられません。どのように気持ちの整理をしたらよいでしょうか?」──とある経済団体のランチ会でご一緒した電気関係の資材・機器卸業を営まれている二代目承継予定の素敵なお嬢さまからのご相談です。

私からは、「最初に「儲かるビジネスモデル」に変えながら、属人的でない「自走する組織(従業員が自ら考え、対話し、行動する組織)」を構築することで「儲かる商売の仕組みづくり」をしてもらうように現社長に進言してください。「儲かる商売の仕組みづくり」ができれば、あなたが継がなくても事業売却が可能になります。」と申し上げました。

というのも、家族経営でなんとかなっているといっても、家族以外の従業員もいますので、きちんと儲かる商売をしていただきたいのです!本当に家族だけで経営されているのであれば、自業自得ですので、「どうぞお気の召すままになさってください。」と申し上げるのですが・・・

そうなのです。従業員がいて、その家族がいるのです。経営者として、簡単に放棄するわけにはいきません。また、家族経営でなんとかなっている状況であれば、従業員も不安を感じているでしょうし、仕事に集中できずに転職などが頭の中にちらついていても仕方ありません。

従業員の立場になって考えてみてください。
儲かっておらず、家族経営でなんとかなっているような状況では、いつ倒産してもおかしくないのです。そして、従業員としての弱い立場ですので、いつ整理解雇されるかもわからないのです・・・こんな状況下で、仕事に集中できますか?ということなのです。

私が従業員であれば、間違いなく転職します。
すぐにはできなくても、転職するために必要・有利となるスキルなどを習得しつつ、転職活動に注力して、いつ倒産するかもわからないあなたの会社から脱出します。守らなければならない家族もいますので・・・

従業員だけではありません。
後継者でさえも、「儲からなくて、借金だけある会社を継ぐって・・・」と二の足を踏むのが当然なのです。現社長は「あとはよろしく!」で済むと思っているようですが、任される方はたまったものではありません。

実際に、事業承継のご相談で多いのは、従来からの「儲からないビジネスモデル」を放置しながら、従業員に仕事を割り当てた属人的な集団でしかなく、「組織で会社を回す仕組みがない」パターンです。こんな状態の会社を継ぎたいと思う後継者がいると思いますか?!という話なのです。

それでも、親のためを思い本心では絶対に継ぎたくないと思っていても、「(私以外、誰も引き継ぐ人はいないので)私が継ぎます。」を言ってしまう健気な後継者がいかに多いことか・・・とても残念なことだと思いませんか?

もし、「儲かるビジネスモデル」があり、属人的でない「自走する組織」を構築することで「儲かる商売の仕組みづくり」ができていたとしたらどうでしょうか?

例えば、営業利益率12%超の「儲かるビジネスモデル」があるだけでなく、属人的でない「自走する組織」が構築されており、従業員が自ら考え、対話し、行動することで「儲かる商売の仕組みづくり」ができていれば喜んで継ぎたいと思うはずです。

万一、それでも継ぎたいという人物が身近なところからでてこなかったとしても、営業利益率12%超の「儲かるビジネスモデル」+「自走する組織」があれば、事業売却(­M&A売り)でいくらでも買い手がみつかるはずです。買い手がいなければ、私が買い手になります!

今回ご相談いただいた会社の場合、夫婦ともにそれぞれの実家の家業を継ぐ気持ちをお持ちでしたので、後継者問題にはならないと思いますが、後継者がいても応諾してもらえない場合も十分にあり得るのです。

「儲からない会社を引き継げと言われてもね・・・」という気持ちも十分にわかります。

だからこそ、無理に事業承継するのではなく、後継者がいても応諾してもらえない場合も含めて事業売却できるように、「儲かる商売の仕組みづくり」が必要なのです。

これまで儲かっていなかったとしても、「儲かるビジネスモデル」に変えながら、属人的でない「自走する組織(従業員が自ら考え、対話し、行動する組織)」を構築することで「儲かる商売の仕組みづくり」ができれば、「継いでもらってもいいし、継ぐのが嫌なら事業売却するけど、どちらがいいかな?」と後継者に選ばせることもできるのです。

「儲かるビジネスモデル」に変えることは、すぐにご理解いただけるのですが、「自走する組織」でなければならないことについては、ご理解をいただけない場合も多いので、簡単に説明します。

「自走する組織」の対義語としては、「管理する組織」になります。
高度成長期からバブル崩壊までの工業社会では、工場・従業員の稼働率をいかに上げるかが重要でしたので、経営者の思い通りに「管理する組織」で従業員を動かすことが必須でした。

いわゆる「トップダウン」で動く組織であり、これまでの日本の組織形態としては一番ポピュラーなものです。あなたの会社も「管理する組織」になっていると思いますが、いかがでしょうか?

これまでの大量生産・大量消費を前提とする工業社会であれば、「トップダウン」で動く「管理する組織」はベストな組織形態であったのですが、時代は変わってきています。

すでに、必要なものはほとんど満たされており、新しく独創的な商品やサービスでなければ、顧客が振り向いてもくれない時代なのです。

このような時代には、従業員が自由で独創的な発想ができるような環境を整えなければなりません。つまり、どんなに突飛で、これまでの常識とかけ離れていようとも、思いついたことを自由に発言できるような環境が必要なのです。この環境のことを、行動心理学の用語では「心理的安全性」といいます。

この「心理的安全性」は、経営者であるあなた(後継者である場合は、現社長)が、会社の中に確保できるようにしなければ実現しません。

これまでの「トップダウン」とは180度違いますので、「急にそんなことを言われても、できない・・・」と困惑されるのは理解しますが、是非ともトライしてください。

トップダウンで無理やり売上・利益を出そうとすると、「パワーハラスメント」で訴えられかねませんが、心理的安全性を確保して、従業員が自ら考えて、対話し、行動する組織(=自走する組織)に変えることができれば、そのような心配はなくなります。

「トップダウンでギリギリやらないと、すぐにサボるからダメだ!」とお考えかもしれませんが、日本人はもともと勤勉な国民性ですので、心配は無用です。あなたの会社の従業員ですので信じてあげてください。きっといい結果になると思います。

あなたは、自社のビジネスモデルを「儲かるビジネスモデル」に変える努力をしていますか?

心理的安全性を確保することで、「自走する組織(従業員が自ら考え、対話し、行動する組織)」を実現しようとしていますか?