ビジョン実現コンサルティング

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今週のコラム 儲かる会社になるための第一歩として、経営者が必ず作成するべき事業未来図とは?

「経営計画書なるものを、専門家の方から指導を受けて策定し、その目標に向かって頑張ってきたのですが・・・計画だけが先行しており、とても目標値をクリアできそうにありません。もう、何をどうしたらいいのかさえ、わからなくなってしまいました。経営計画書の次にやるべきことを教えていただけませんでしょうか?」──とある製造業を営む社長からのご相談です。

一点だけ質問させてください。その経営計画書にあなたの社長としての夢を実現するための内容が、きちんと記載されていますでしょうか?

「私の夢ですか?そのような内容の記載はありません。経営理念やビジョンなどは記載していますが、売上・利益の目標値をクリアするためにどうするかを中心に記載しております・・・」と、心配そうに回答していただきました。

「結論から申し上げると、絵に描いた餅になってしまっている経営計画書は一旦白紙にしてください。その上で、経営者としてのあなたの夢をベースに事業未来図を作成・実践していただくことで、従業員が自ら考え・対話し・行動する:自走する組織で営業利益率12%超を目指していきましょう!」と回答させていただきました。

【最初に社長の夢を明文化すべし!】

「事業未来図? 自走する組織? 営業利益率12%超???」と、相当驚かれた様子でしたので、落ち着かれるのを待って、説明させていただきました。

会社経営においては、進むべき方向への道しるべが「社長の夢」であり、これに一歩でも近づき、実現するために明文化したものが「事業未来図」です。

「社長の夢」を「事業未来図」として明文化することで、従業員が目指すべき方向が明確になり、全社一丸となって目標に取り組むことができるようになります。

まさに、大海原にでて航海するときの「北極星」が「社長の夢」であり、進むべき方向への「羅針盤」が「事業未来図」となり、これをベースに会社が活動していくのです。

【各種計画書の違いについて】

ここで、社長の夢を明文化する際の計画書(経営計画書、事業計画書、事業未来図)のそれぞれの定義と相違点について見ていきましょう。

<経営計画書>

全社的、かつ3〜5年程度の長期的・戦略的視点で、「会社のあるべき姿」を示していく計画書。

<事業計画書>

経営計画書の経営計画の目標を達成するために、部分的な視点と、1〜3年程度の短期的視点、また、どういうアクションをするのかという戦術的視点で、「会社のあるべき姿」に到達するまでの具体的な実行プランを示した計画書。

<事業未来図>

全社的、かつ5〜10年程度の長期的・戦略的視点をもって、社長の夢である「会社のあるべき姿」を1枚の図に落とし込んだもの。

目標を達成するための中核となる、「儲かるビジネスモデル」への変更、「自走する組織」づくり、さらに目標達成へどのようなアクションをするのかという戦術的視点で、「会社のあるべき姿」に到達するまでの具体的な実行プランを示した計画書。

 このように、「事業未来図」は、経営計画書と事業計画書を合体させ、社長の夢である「会社のあるべき姿」を1枚の図に示すとともに、夢の実現のためにどうすべきかを逆算していくことで、各自がいつまでに何をやるべきかを明確化し、従業員の皆さんと共有できるものにしている点が他の2つの計画書とは大きく異なります。

さらに、具体的な実行プランを従業員の方々が、その持ち場で考えて、よりよい方向に転換するために対話し、行動するために、個別具体的な方針を決定していきます。この方針が定められていることで、イレギュラーな事態が発生しても従業員が単独もしくは同僚と対話することで、どのように行動するべきかを決めていくことができるのです。

【自走する組織とは?】

中小企業の社長の多くは、どの従業員よりも営業活動をして稼ぎ、より多くの事務処理を行い、トラブルが発生すればクレーム処理まで対応するという「スーパーマン」のような活躍をされています。

それに対して、従業員はというと、決まりきった事務・業務をこなすことだけで、率先して稼いだり、より多くの事務処理を行なったりはしません。トラブルが発生すれば、社長に助けを求めて終わり。なぜ、そのようなトラブルが起きたのか、どのように事務・業務を改善すればトラブルを撲滅できるのかなどは考えることもないというのが一般的ではないでしょうか?

このような状況とは真逆の、従業員が自ら考え、対話し、行動する組織を、「自走する組織」と呼んでいます。

従業員がやるべき事務・業務が明確になっており、仕事に人が割り当てられていることで、さらに効率的なやり方などがないかを自ら考え、その考え方で実際の効果が得られるのか、関連する部署に迷惑をかけないか、職場の同僚などと対話・相談し、実際に行動していく組織なのです。

こういう話をすると、「うちの会社で、そんな夢みたいなこと、できるわけがないですよ!?」という社長が多いのですが、きちんと環境を整えれば十分にできるのです。

【営業利益率12%超を目指すべき理由について】

営業利益率12%超を実現するべきとお伝えすると、ほとんどの社長が「ウチにはそんな利益目標は無理!」と拒絶反応を示されるのですが、これには理由があります。

<経済成長率+金利は何%?>

過去、日本だけでなく、世界の経済成長率を見てみると、年率で3%程度の経済成長率となっています。

また、金利も3%程度となっており、経済成長率3%+金利3%=6%は稼がなければ、世の中に置いて行かれてしまうことになります。

国際通貨基金(IMF)の2023年1月のレポートでも、「世界経済成長率は、2022年の3.4%(推定値)から、2023年に2.9%へ鈍化した後、2024年には3.1%へと加速する見込みだ。2023年の予測は、2022年10月の世界経済見通し時点から0.2%ポイント上方修正されたものの、歴史的(2000―2019年)な平均である3.8%を下回っている。」となっています。
引用元 https://www.imf.org/ja/Publications/WEO/Issues/2023/01/31/world-economic-outlook-update-january-2023

<日本国債先物の標準物とは?!>

ちなみに、日本国債先物では標準物と呼ばれる架空の国債が取引されています。

長期国債先物については、クーポン(利率)6%、残存10年の国債を標準物として売買がなされ、一定の計算式から算出される係数に基づき、残存7~11年の10年利付国債と交換ができる仕組みがとられています。

このクーポン(利率)6%が、先ほどの経済成長率3%+金利3%=6%と同じなのです。

<社長として何倍の利益を得たいか?>

現在の日本は不景気であるとともに、超低金利の状態が続いていますので、6%というと驚かれるかもしれません。また、「今の日本の現状に合わせて考えてもいいのでは?」というご意見をいただくことも多いです。

しかしながら、あなたは社長として、大きなリスクを冒しながら経営をされているのですから、世界で見た平均値の2倍は稼がなければ意味がないのではないでしょうか?(ここでは、税金等の計算は除きます)

もちろん、3倍でも、4倍でも、最高経営責任者として考える水準での利益を実現していただきたいと思います。高収益体質でしっかりと稼がれている社長は、営業利益率18%超、同24%超を目指してください。

いずれにしても、最低6%X2倍=12%は稼がなければ、会社を経営している意味がないですし、従業員やその家族に報いるためにも、これくらいは稼ぎ続けなければならないと私は考えています。

【自走する組織で営業利益率12%超を実現するために】

では、どのようにすれば、自走する組織で営業利益率12%超を実現することができるのでしょうか?

<社長の夢を具現化した事業未来図の策定>

計画を達成するためには、「目指すべきゴール」を参加者全員が共通認識していなければなりません。

あなたの会社の全従業員が、目指すべきゴールである「社長の夢」を共通認識するために、社長の夢を具現化した事業未来図の策定を最初にしなければならないのです。

事業未来図は、全社的、かつ5〜10年程度の長期的・戦略的視点をもって、社長の夢である「会社のあるべき姿」を1枚の図に落とし込んだものであり、これまでに経営計画書を作成したことのある社長であれば、少し時間はかかると思いますが、十分に策定可能だと思います。

考えていただきたい点としては、①目標を達成するための中核となる、「儲かるビジネスモデル」への変更、②「自走する組織」づくり、③さらに目標達成へどのようなアクションをするのかという戦術的視点で、「会社のあるべき姿」に到達するまでの具体的な実行プランを示していただきたいということです。

「社長の夢」を具現化したものが事業未来図なのですが、具体的に実行可能なものにしていただかないと、従業員はどのようにしたらいいのかがわかりません。マーケティング、仕入れ、製造、営業、事務・・・全てにおいて、どのような方針で対応・実行していくのかが明確になっていなければ誰も動けないのです。

この方針が明確に定められていることで、イレギュラーな事態が発生しても従業員が単独もしくは同僚と対話することで、どのように行動するべきかを決めていくことができるようになるのです。

<自走する組織づくり>

社長の夢を具現化した事業未来図を策定するとともに、従業員が自ら考え、対話し、行動するという「自走する組織」づくりを目指しましょう。

そのためには、これまでのトップダウンによる指示・命令系統を見直していただく必要があります。

これまで同様に、社長であるあなたが、どの従業員よりも営業活動をして稼ぎ、より多くの事務処理を行い、トラブルが発生すればクレーム処理まで対応するという「スーパーマン」のような活躍をさるおつもりであれば、見直す必要はありません。今まで通りにご活躍されてください。

これまで、決まりきった事務・業務をこなすことだけで、率先して稼いだり、より多くの事務処理を行なったりせずに、トラブルが発生すれば、社長であるあなたに助けを求めて終わり・・・という従業員の動きを変えたいのであれば、トップダウンによる指示・命令系統を少し見直してください。

どのように見直すかというと、従業員が「こんな話をしたら馬鹿にされないかな?」「こんな相談をすると社長を怒らせてしまうかな?」などという不安を感じないですむように、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態=「心理的安全性」を確保してあげてください。

「心理的安全性」とは、組織行動学を研究するエドモンドソンが1999年に提唱した心理学用語で、「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」と定義しています。

この「心理的安全性」が確保された状況で、社長の夢を具現化した事業未来図が策定されていれば、従業員がやるべき事務・業務が明確になっており、仕事に人が割り当てられていることで、さらに効率的なやり方などがないかを自ら考え、その考え方で実際の効果が得られるのか、関連する部署に迷惑をかけないか、職場の同僚などと対話・相談し、実際に行動していく組織に変えていくことができます。

<事業未来図に基づくPDCAの実施>

何事も最初からうまくいくはずがありません。特に、これまでのやり方を変えていくとなると尚更です。

我々が目指すのは、「事業未来図を活用して、自立する組織で営業利益率12%超を実現する」という、これまでであれば想像さえしていなかったことですので、いろいろな事務トラブルや人間関係のトラブルも当たり前のように起こります。

その上で、どのようにしてゆけば一番良い形になるかを模索していかなければならないのです。

正にトライ&エラーという言葉がピッタリな状況で、当初は混沌としますが、最高経営責任者であるあなたが全従業員を引っ張って、強くて稼げる自由闊達な社風の会社に育て上げるのです。

事業未来図で策定したゴールを目指すために、各部門やチーム単位でPDCAサイクルをドンドン回させることで、素敵な会社づくりをしていってください。

【まとめ】

絵に描いた餅になってしまっている経営計画書は一旦白紙にする。

経営者としてのあなたの夢をベースに事業未来図を作成・実践する。

その際に、重要なのは次の3ポイント、

①儲かるビジネスモデル(=営業利益率12%超を実現するビジネスモデル)

②自走する組織(=従業員が自ら考え・対話し・行動する組織)

③目標達成へどのようなアクションをするのかという戦術的視点と具体的な実行プラン

儲かる会社になるための第一歩として、経営者が必ず作成するべき事業未来図を活用して、自走する組織で営業利益率12%超を目指していきましょう!