ビジョン実現コンサルティング

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今週のコラム 経営者はDXより先に経営計画書をつくれ!!!

「コロナ禍の影響だけでもないのですが、業績だけでなく社内の雰囲気も停滞気味で・・・テコ入れのためにDX(デジタルトランスフォーメーション)をウチの会社にも導入しようと考えているのですが、どう思われますか?」──とあるサービス業を経営される方からのご相談です。

確かに、コロナの影響がでてから約1年半が経過しており、飲食をはじめとした様々なサービス業、製造業などで会社の業績に大きな影響がでています。そして、政府・地方自治体の自粛要請により、個人としての活動も制限されていることからストレスが蓄積されている状況が続いています。

私からは、「DX(デジタルトランスフォーメーション)も大変重要なのですが、経営計画と比べてどのような状況になっていますか?専門分野ではないのでDXについて詳細なアドバイスはできませんが、現状を確認させていただければ、大枠の方向性はお示しできると思います。」とお話ししました。

なぜ経営計画を持ち出したかというと、経営計画を策定されていない状況にもかかわらず、経営者仲間で話題になっていて、まるでDXを魔法の杖のように感じてしまわれている経営者の方が多いからなのです。

この経営者の方からも、「経営計画ですか?売り上げを前年対比微増にするという目標があるだけですが・・・」と弱々しい声で回答がありました。

コロナ禍で混沌とした状況下だからこそ、経営者として会社の舵取りをするための羅針盤ともいうべき「経営計画」を策定して、それを書面にした上で従業員の方々に徹底・実践してもらわなければなりません。そのためには、経営者であるあなたが会社の「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を考え抜いて、経営者としての魂を込めて経営計画書に落とし込むのです。(「ミッション」「ビジョン」「バリュー」については「第27話:経営者が考えるべき「ミッション」「ビジョン」「バリュー」について」をご参照ください)

そして、経営計画書を策定した上で、下記DXの3段階を経営者であるあなたがどのように対応していくかを考えていくのです。
①デジタイゼーション:情報をデジタルツールでつくる。アナログからデジタルへの移行。

②デジタライゼーション:情報のやり取り、共有をデジタルツールでおこなう。デジタル化されたデータを活用して、作業の進め方やビジネスモデルを変革する。

③デジタルトランスフォーメーション:(ツールの導入を行うといった局所的なIT導入のことではなく)デジタル技術の利活用で、根本的なビジネスモデルそのものを変えること。主に人や組織に関する変革を指す。

DX(デジタルトランスフォーメーション)は第3段階ですので、第1段階のデジタイゼーション、第2段階のデジタライゼーションをしなければ到達できません。また、これらに着手する際には、あなたが経営者としてどのようにDX(デジタルトランスフォーメーション)を企画・実践していくのかを明確にしなければ何もはじまらないのです。

いきなりDX担当者を任命したり、DX部署を創設して丸投げすることは絶対にやってはいけません。経営者であるあなたが経営計画書を策定し、DXについて具体的な方針を示してからでなければ、社内が混乱するだけで期待したような効果は得られませんので、くれぐれも順番をお間違えにならぬようになさってください。

そうでないと、2021年9月1日の日経新聞朝刊の「失われた20年」目標未達の歴史にあるような事態に、あなたの会社が陥る可能性が極めて高くなります。

「デジタル庁が掲げる「行政のデジタル化」は20年間、日本が取り組み続け、失敗を重ねてきた歴史」であり、「2000年の森喜朗政権でIT基本法が成立し、翌01年に「e-Japan戦略」を定めた」、「05年までにネット網は整備できた。ところが行政のデジタル化は進まなかった。」とのことです。(「」は日経新聞の記事抜粋)

そして、デジタル庁のHPには次のようなミッション・ビジョンが掲げられています。
(緑マーカー部分がデジタル庁HPからの抜粋です。)

ミッション
誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を。
一人ひとりの多様な幸せを実現するデジタル社会を目指し、世界に誇れる日本の未来を創造します。

ビジョン
Government as a Service
国、地方公共団体、民間事業者、その他あらゆる関係者を巻き込みながら有機的に連携し、ユーザーの体験価値を最大化するサービスを提供します。

Government as a Startup
高い志を抱く官民の人材が、互いの信頼のもと協働し、多くの挑戦から学ぶことで、大胆かつスピーディーに社会全体のデジタル改革を主導します。

そして、「誰一人取り残さないデジタル社会の実現のため」として、下記4項目について様々な政策が掲げられていますが、残念ながらどれも20年前とほとんど同じ内容となっています。

  1. デジタル社会に必要な共通機能の整備・普及
  2. 国民目線のUI・UXの改善と国民向けサービスの実現
  3. 国等の情報システムの統括・監理
  4. その他

「失われた20年」目標未達の歴史のような状況にならないためにも、経営者であるあなたは「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を掲げ、経営計画書を策定した上で、DX(デジタルトランスフォーメーション)への取組方針を従業員の方々に示してください。

実際のDX取り組みに際しては、DX専門家にご相談いただく必要がありますが、大枠は下記3ステップですので、経営者であるあなたが各部署の縦割り・縄張り意識を排除して、大胆に変革してください。
①デジタイゼーション:情報をデジタルツールでつくる。アナログからデジタルへの移行。
②デジタライゼーション:デジタル化されたデータを活用して、作業の進め方やビジネスモデルを変革する。
③デジタルトランスフォーメーション:デジタル技術の利活用で、根本的なビジネスモデルそのものを変える。

ここまでの説明でお分かりいただけたと思いますが、DXを導入するにはきちんとした事前準備と非常に大きな負担が伴います。ニューノーマル時代への移行に伴う非接触対応も視野に、あなたの経営者としての力量が試されているといっても過言ではありません。
しっかりと準備をして、よりよい会社にするために腕を振るってください。

DXの導入には時間がかかりますが、あなたが会社の「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を掲げ、経営計画書を策定して従業員の方々に徹底・実践してもらうことができれば、間違いなく素晴らしい会社に成長されているはずです。

まさに経営者としての力量が試されるのです。あなたが経営者として実現したい会社にするために、しっかりと考えて実践してください。最後に専門家の意見を聞いて追加・修正するのは構いませんが、あなたの頭で必死になって考えましょう。

そして、完成した「ミッション」「ビジョン」「バリュー」「経営計画書」は、従業員の方々に、あなたが経営者としてきちんと説明してください。経営者として、あなたが魂を込めたことを従業員の方々に理解していただければ、社内の雰囲気も間違いなく変わるはずです。

あなたは経営者として、どのような「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を掲げ、「経営計画書」を策定されますか?