ビジョン実現コンサルティング

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今週のコラム 経営者ならお金を使う前に知恵を絞って仕組みをつくるべし!

「髙窪先生、少し愚痴を聞いてもらってもいいですか?最近、なんだかんだとお金がかかる相談が従業員から多くなってきて、どれから手をつけていけばいいのか頭を悩ませています。例えば、オンライン化の推進やDX(デジタルランスフォーメーション)などは、導入時にシステム導入コストがびっくりするぐらいかかるだけでなく、導入後もメンテナンス費用としてそれなりの費用がかかります。時代の流れであることは理解しているのですが、うちの会社のように従業員も30名程度の中小企業でどこまで必要なのか考えているのですが・・・どうしたらいいかわかりません。何か良い方法はないでしょうか?」──とある中堅製造業を経営されている方からのご相談です。

確かに、デジタル化の流れは、我々中小企業でも避けて通れない状況になってきています。きっかけは、「非接触」が求められてのZOOMなどのオンライン化でしたが、実際にオンラインで商談などをしてみると、膝を交えて面談しなくてもある程度はできてしまいます。

特に、遠距離の新規取引見込先であった場合など、これまでは何度も出張で往訪し、プレゼン&商談を繰り返した後でのクロージングとなっていましたので、ひとつの新規案件に多大な時間を費やしていました。東京⇄大阪間では片道3時間程度の時間がかかるので、ヘタをすると1日1社のみということもあったのです。他の会社の商談をうまくセットできても2社しか商談できませんでした。

ところが、オンライン化した商談であれば、移動時間は必要なく、1時間の商談であれば、午前中3社、午後4社の商談が可能です。そして、距離に関係ありませんので、午前中3社(9時から大阪、10時から北海道、11時から京都)との商談が、午後も3社(13時からタイ、14時から神戸、15時から宮城、16時から上海)といった感じでの商談が可能になるのです。

初期段階のプレゼン&商談をZOOMなどのオンラインで繰り返した後、最終のクロージング場面で膝を交えて面談するといったやり方も、現在では違和感なく受け入れられるようになりました。

なお、人員が限られていることから、新規取引見込先へのアプローチで営業代行を活用されている経営者の方も多いと思います。営業代行もピンキリですので、いい営業代行であれば無駄な面談をセットされることも少ないのですが、ほとんどの場合にはプレゼン&商談を繰り返すことができるような実効性のある面談の割合が低いのではないでしょうか?!

今回ご相談いただいた経営者の方の場合、営業代行経由で実効性のある面談の割合が約1割程度とのことであり、残りの9割が無駄な面談・商談(?)になっているのです。
そして、その面談・商談のために全国各地(場合によっては海外)まで遠征していたとのことですので、非常に無駄な経費を使っていたことになります(汗)。

せめて、営業代行からの面談・商談について、初回だけはZOOMなどのオンラインで先方のニーズをヒアリングすることに決めておくだけで、遠征にかかる時間や費用の無駄を排除できます。

ZOOMなどのオンライン面談にかかる費用は、導入時にWebカメラなどで数万円/台程度ですし、各自のパソコンにカメラが付属していれば会議室以外は不要です。また、ランニングコストは年間で数万円程度ですので、出張費等を考えるとすぐに回収できます。

次に、顧客管理をデジタル化・一元化しようとすると、CRM(Customer Relationship Management)ツールの導入を検討する段階になります。CRMツールは、顧客との情報管理を主にしています。顧客の氏名、所属企業、役職、部署など、あらゆる情報を一元化し、それぞれに適切なアクションを打つ土台を築くためのものです。

CRMツールと同様なものとして、SFA(Sales Force Automation)ツールがあります。これは、顧客との取引やプロジェクトなど「案件化された状態」を軸にした情報管理を主にしています。SFAツールの主な目的は、商談やプロジェクトを円滑に進めていくこと。そのため、案件の進捗状況や、商談から契約までの目安の期間を算出するほか、過去の対応履歴を確認できる機能群を備えています。

このように、「案件」に関わるあらゆる情報を集約し、営業活動を円滑にするため、CRMツールとSFAツールは分けることが難しくCRM/SFAツールとされることが増えてきました(以下、CRM/SFAツールとして記載します)。

CRM/SFAツールですが、様々な企業からシステムがリリースされています。料金体系も、導入費用が高額なものやランニング費用が高額なものまで、いろいろなものがありますので、経営される会社の状況に合ったものを選んでいただけますが、ある統計によるとCRM/SFAツールの定着率は20%程度といわれています。

ドキッとされた経営者の方が多いのではないでしょうか?
実際に導入されている経営者の方であれば、次のような問題があります。

「ウチもデジタル化の一環として、CRM/SFAツールを導入したけれど、現場の理解が得られずに全く稼働していない・・・」
「データ入力に手間・時間がかかるので、現場からクレームが出ている・・・」
「本来、会社全体で情報を共有するためのものであるが、各部署で独自のルールがあり、全く機能していない・・・」
「導入したけれど、どのように効果がでているのか計量できていない・・・」

これから導入しようとされている経営者の方であれば、どのCRM/SFAツールを選定すればいいのかも分からないのが実情でしょうし、導入した企業の定着率が20%と聞かされると、本当に導入していいのかどうか悩まれるところだと思います。

あえて申し上げますが、今後、売上・利益を2倍・3倍と増やしていこうと考えていらっしゃるのであれば、是非ともCRM/SFAツール導入を前向きに検討してください。そして、営業活動を営業担当者の属人的なものにせず、会社全体で取り組むものにしていただきたいと思います。

SFAツールでは、案件の進捗状況や、商談から契約までの目安の期間を算出するほか、過去の対応履歴を確認できる機能群を備えています。これを活用することで、誰が営業担当者になったとしても、これまでの担当者と同等の対応ができるようになるのです。

ただし、大前提として、社内の新規営業の仕組みづくりがきちんとなされている必要があります。この仕組みづくりでは、従来の営業が一人で担当していた①見込み客獲得②見込み客育成③契約、をそれぞれマーケティングインサイドセールスフィールドセールスに細分化して、分業体制を確立することになります。

ちなみに、インサイドセールスとは、見込み客に対して電話、電子メール、ダイレクトメール(DM)、チャットなどでコミュニケーションを取り、ニーズを探りつつ関係を構築する営業のことです。また、フィールドセールスは、見込み客を訪問し、直接の対話を通じて商品・サービスを提案し、商談を進めて受注へとつなげる従来型の営業をいいます。

細分化・分業体制とすることにより、従来型セールスと比較して、大幅に効率化を図ることができます。このインサイドセールスの営業の流れを、新規先獲得の仕組みとして社内に構築すれば営業部隊は不要になるほどです。さらに、銀行・信金を自社の営業マンに変えることができれば、売上・利益を2倍・3倍どころか10倍も視野に入れることができます(詳しくは、こちらのセミナーでご説明します → https://www.musubu-consulting.jp/seminar-lp/ )。

このようにして出来上がった新規営業の仕組みづくりをベースに、CRM/SFAツール導入をしていただくとともに、売上・利益を2倍・3倍どころか10倍を達成するためにCRM/SFAツールを活用することを従業員に徹底しましょう。

限られた従業員で、売上・利益を2倍・3倍どころか10倍を達成するためには、CRM/SFAツールの活用が不可欠になります。ツールの活用により担当者への負担軽減だけでなく、今後の対応についても明確になりますので、無駄がありません。

間違っても、新規営業の仕組みづくりを社内に構築する前に、CRM/SFAツールを導入することがないようにしてください。他の導入企業で失敗しているように、あなたも定着しなかった80%の経営者になってしまいます。CRM/SFAツールはただのシステムであり、魔法の杖ではありませんので・・・

時代の要請に合わせて、デジタル化を推進するのであれば、対象となる業務・事務の仕組みづくりをするとともに、社内体制を構築した上で行なってください。そうすることで、本当の意味でデジタル化の恩恵を受けることが可能となり、現在の従業員だけで、売上・利益を2倍・3倍どころか10倍を達成することも視野に入れることができるようになってきます。

今回は、新規営業を中心にご説明しましたが、DX(デジタルランスフォーメーション)を推進するのであれば、全ての業務・事務について同様の対応が必須となってきます。システムなどのお金を使う前に、経営者であるあなただけでなく、従業員の知恵を絞って仕組みをつくって、素晴らしい会社に変革させてください。

あなたは経営者として、デジタル化について、どのように対処されますか?

デジタル化にお金を使う前に、知恵を絞る経営で、あなたの会社に仕組みを構築して素晴らしい会社にしていきましょう!