社長の財務不安を、仕組みで解消する財務顧問

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今週のコラム 人が辞める会社から、人を育てる会社へ──人事制度が変える未来

「最近、社員がなかなか定着しなくて……。採用しても半年も経たずに辞めてしまうんです。
育てる前にいなくなるので、いつまで経っても戦力が増えず、現場は常にギリギリの状況です。
どうしたら“辞めない会社”をつくれるのでしょうか?」
――これは、当社の相談会に参加されたサービス業のオーナー経営者からいただいたご相談です。

確かに、このような声は近年ますます増えています。「若い人はすぐ辞める」「うちは育成に向いていない業種だから仕方ない」と、外部環境のせいにしたくなる気持ちも分かります。しかし、本当にそれだけが理由なのでしょうか?

社員が辞める会社と、社員が育つ会社。
この2つの違いは一体どこにあるのか。
人が辞めるのは“最近の若者の気質”なのでしょうか。
それとも、会社側に見直すべき何かがあるのでしょうか?

「採用が難しい」「辞めてしまう」「人が育たない」――
まるで終わりのない迷路のように思えてしまいます。ですが、この問いにも明確な答えがあります。

本コラムでは、
「人が辞める会社」から「人が育つ会社」へと変わるために、何を、どの順番で整えるべきか
その本質を、できるだけシンプルに紐解いていきます。

中小企業の人材課題は、努力や根性では解決できません。
しかし、仕組みを整えれば、会社は驚くほど変わります。

「人が辞めるのは本当に時代のせいなのか?」
「人が育つ会社にはどんな共通点があるのか?」
その答えを、これから一緒に見ていきましょう。

はじめに

人が辞める会社には、必ず理由があります。
それは決して「給料が安いから」「待遇が悪いから」だけではありません。
むしろ多くの場合、社員の本音はもっと静かで深刻です。

それは、
「自分は正しく評価されているのだろうか?」
「ここで成長していけるのだろうか?」
「この会社の未来に、自分の未来を重ねられるのだろうか?」
という“見えない不安”です。

この不安が積み重なると、社員は黙って会社を離れていきます。
逆に言えば、この不安を取り除くことができれば、
どんな中小企業でも「人が育つ会社」へ確実に変わっていきます。

しかし、社長がどれだけ想いを持っていても、
「仕組み」が整っていなければ組織は変わりません。

「社員が成長してほしい」
「もっと主体的に動いてほしい」
「辞めずに長く戦力として働いてほしい」
社長がこう願うのは当然です。
ですが、願いだけでは現場は動かないのです。

人が育つ組織には共通点があります。それは、
“感覚”や“気合い”ではなく、「再現性のある仕組み」で人を育てていること。
つまり、人事制度そのものが「教育装置」になっています。

ここで誤解してほしくないのは、
難しい制度や大企業のような分厚いルールが必要だということではありません。
むしろ中小企業だからこそ、
「シンプルで、現場が理解しやすい制度」こそ効果を発揮します。

人事制度は「作ること」が目的ではありません。
会社の未来をつくるための“経営ツール”です。
制度を変えることで、
・社員の成長スピードが上がる
・評価や給与の不満が減る
・離職率が下がる
・業績に直結する行動が増える
これらが同時に進み始めます。

そして、行動を起こせるのは社長だけです。
社員は制度を選べません。未来を選ぶのはいつも経営者です。

会社を「辞める会社」から「育つ会社」に変える第一歩は、社長が決断することです。
その一歩さえ踏み出せれば、会社は確実に変わり始めます。

1. なぜ人が辞めるのか──離職の本当の原因を直視する

人が辞める会社には、必ず理由があります。
そして、その理由の多くは社長の想像とは異なります。

「最近の若者は根性がない」
「今の社員はすぐ辞める」
「給料を上げても離職が止まらない」

こうした“表面的な理由”で片づけてしまうと、
本質的な問題は永遠に解決しません。

離職の本当の原因は、
“社員が会社に見切りをつける瞬間が、日常の中に静かに積み重なっている”
ことにあります。

離職は突然ではありません。
前触れなく起こるのではなく、
社内の小さな不満・不安が積み重なり、ある日「この会社で働き続ける理由がない」と判断される
結果なのです。

ではその「小さな不満・不安」の正体とは何か。
次の3つこそ、中小企業に最も多い“見えない離職の引き金”です。

1.1. 給与より深刻な「納得感の欠如」

多くの経営者が誤解していますが、
社員は「給料の多さ」で辞めるのではありません。

辞める理由の多くは、
“給与よりも、評価や扱われ方に納得できない”
というシンプルな現実です。

中小企業で特に多い声は次のとおりです。
・「なぜ自分の給料がこの金額なのか説明がない」
・「成果を出しているのに反映されていない」
・「上司の好き嫌いで評価が決まっている気がする」
・「頑張っても頑張らなくても給料が同じ」

これらはすべて、
「給与額そのもの」ではなく「給与の根拠」が不透明であること
が原因です。

中小企業では、社長の頭の中で判断が完結してしまい、
評価プロセスが社員に共有されていないケースが非常に多いです。

しかし、社員は思っています。

「どうやったら給料が上がるのか教えてほしい」
「何を改善すれば期待に応えられるか知りたい」

納得感がない状態で働き続ければ、
社員は心のどこかで「どうせ変わらない」と諦め始めます。

納得感のない状態こそ、離職のもっとも深刻な原因です。

これは給与を上げるよりも難しく、
しかし正しく制度を整えれば劇的に改善します。

経営者がまず着手すべきは、
「評価の基準を見える化すること」
それだけで職場の空気は一変します。

1.2. 成長の道筋が見えない不安

社員は働く中で常に自問しています。

「この会社で成長できるのだろうか?」
「自分はどこまで行けるのか?」
「頑張った先に何があるのか?」

この問いへの答えを用意できていない会社ほど、離職率が高くなります。

特に20代〜30代の社員は成長への欲求が強く、
未来に希望が見えないと、すぐに転職という選択肢を取ります。

中小企業の現場では、成長の道筋が曖昧になりがちです。

・役割が曖昧
・キャリアが固定化
・昇給の仕組みがない
・「頑張ればどうなるか」が説明できない

これでは、優秀な人ほど会社を離れていきます。

社員は「評価されたい」のではありません。
「成長したい」「未来を描きたい」と願っているのです。

その欲求に応えられない会社は、どれだけ給与を上げても離職は止まりません。

逆に言えば、
成長の道筋が“視覚化”された瞬間、社員は急激に自走し始めます。

「あと何をすればいいのか」
「次にどんなスキルが求められるのか」
「どのレベルで評価されるのか」

これらが整理されているだけで、社員の表情は変わります。
そして自走し始めた社員は、会社に残り、成果を上げるようになります。

成長の道筋は、会社が社員の未来に責任を持つ姿勢の表れです。
それを制度として示せる会社は、間違いなく強くなります。

1.3. 属人的マネジメントの限界

中小企業の離職で最も多いのが、
“上司との相性問題”
です。

そしてこの問題の正体は、
属人的マネジメントです。

社長、管理職、リーダー…
誰の判断であれ、
「その人の感覚」で評価や指示が行われていると、必ず不満が生まれます。

属人的マネジメントの典型例は以下です。
・上司によって指示内容がバラバラ
・評価が“気分”で変わる
・曖昧な指示で振り回す
・頑張っても成果に反映されない
・「見ていないのに評価する」

悪意はありません。
しかし、仕組みがないために起こる“事故”のようなものです。

社員は、意外なほど冷静に見ています。
「この会社はルールより人の感情が優先される」
「どれだけやっても上司が見てくれないと評価されない」
「頑張っても何も変わらない」

このような気持ちが積み重なると、
社員は静かにモチベーションを失います。

属人的マネジメントは、育成の質を下げ、離職の大きな引き金となります。

逆に言えば、
「仕組みで評価し、仕組みで育てる」
これができるだけで離職は大幅に減ります。

人事制度を整えるというのは、
単なる制度導入ではなく、
属人的マネジメントを“仕組み化された組織運営”に変えることなのです。

【最後に──社長が最初にやるべき行動】

離職を減らし、社員を育てたいのであれば、
まず取り組むべきは次の3つです。
1.評価基準を整理し、見える化する
2.成長ステップ(キャリアの道筋)を明確にする
3.属人的マネジメントを制度で置き換える

これらを整えるだけで、
組織の空気は驚くほど変わります。

そして何より大切なのは、
会社を変えられるのは、社長だけだということ。
制度が変われば、人が変わります。
人が変われば、会社が変わります。

2. 「辞める会社」に共通する3つの構造問題

社員が辞める会社には、どれも共通して“構造的な欠陥”があります。
そして、その欠陥は「社長が気づかないところ」で静かに組織を蝕んでいます。

制度が整っていない中小企業は、
社長の人柄や想い、管理職の気合いだけで何とか成り立っていることが多いものです。

しかし──
構造の欠陥は、社長の情熱では補えません。
どれだけ社員思いの社長でも、この“構造3点セット”がある限り、離職は続きます。

その構造問題とは、以下の3つです。

2.1. やるべきことが曖昧な役割不明の組織

辞める会社の最も典型的な特徴がこれです。
「誰が」「何を」「どこまで」やるのかが曖昧。

役割が曖昧だと、以下のような問題が必ず起こります。

■ 社員同士の不満が増える
・「なんで私ばかり仕事が回ってくるのか」
・「あの人は楽な仕事しかしていない」
・「責任の所在が不明で、事故が起きても誰のせいかわからない」

これは、社員の意識の問題ではありません。
役割が定義されていない“組織の問題”です。

■ 社長が全部吸い上げる「ボトルネック社長」になる

役割が曖昧だと、決裁が社長に集中します。
・確認がすべて社長
・指示も社長
・報連相も社長
・最後の判断も社長

こうなると、社長はずっと忙しく、社員は育たず、組織は回らなくなります。

役割不明の組織では、社長の限界が会社の限界になります。

■ 新人が育たない

役割・期待値がないと、新人はどう動けばいいかわかりません。
上司も教え方がバラバラになり、育成の質が安定しない。
新人は早々に「自分はここで活躍できない」と感じ、離れてしまいます。

■ 対策:役割と期待値を“最低限でいいから見える化する”

重要なのは、大企業並みの複雑な図を作ることではありません。
・担当業務
・責任範囲
・求める行動
・判断していい範囲

これをシンプルにまとめるだけで、組織のストレスは激減します。

そして何より、
役割が明確になった瞬間、社員の動きは驚くほど変わります。

2.2. 評価が“結果ベースだけ”になっている

辞める会社は総じて、
「結果がすべて」
「数字がすべて」

になっています。

もちろん、数字は大切です。しかし──
数字だけの評価は、社員を疲弊させる最短ルートです。

■ プロセス無視の評価は、頑張りが報われない

数字が良ければ評価され、悪ければ叱られる。
しかし現実の現場では、
・プロセスが改善している
・行動が増えている
・学びが深まっている

こうした“成長の芽”がたくさんあります。

にもかかわらず、
「でも売上が上がってないよね」で片づけてしまうと、
社員は間違いなく萎えます。

「頑張ったところを見てくれない会社」
と社員が感じた瞬間、モチベーションは急落します。

■ 結果だけの評価は「運が良かった人」を生み出す

目標達成には、以下のような“運要素”もあります。
・顧客の景気
・業界全体の需要
・たまたま案件が来た
・以前の先輩の努力のおかげ
・メンバー構成の良し悪し

こうした外部要因に左右されるにもかかわらず、
結果だけで評価すると、「実力ではなく運の良い人」ばかりが評価されます。

運で昇給・昇格する会社は、社員がやる気を失う典型例です。

■ プロセス評価を入れると、社員は一気に育つ

プロセス評価とは、
・行動量
・改善度
・取り組み姿勢
・業務理解の深さ
・チームへの貢献

など「数字の手前」にある行動を評価するものです。

プロセスが見られていると理解した瞬間、社員はこう思います。
「努力が報われる会社だ」
「行動すれば成長できる」
「自分は役に立っている」

この状態こそ、最も離職が減る組織です。

■ 対策:結果50%・プロセス50%のバランスへ

割合は会社によって変えていいですが、
・行動
・改善
・姿勢
・学び
・チーム力

こうしたプロセスを評価項目に入れるだけで、
組織の空気は劇的に変わります。

2.3. 経営者が「見てほしい数字」と現場が「追わされる数字」がズレている

辞める会社に必ずある最後の構造問題。
それは、
社長と現場の“数字のズレ”
です。

■ 社長が見たい数字
・粗利
・キャッシュフロー
・固定費
・客単価
・リピート率
・顧客LTV

これらは当然、経営に重要な数字です。

■ しかし現場が追わされている数字
・とにかく売上
・今月の目標だけ
・来店件数
・訪問件数
・電話本数
・アポ数

これらは現場の“短期的な行動数字”に偏りがちです。

■ このズレが大きい会社ほど、社員は「何のために働くのか」見失う

例えば、
社長は「粗利」を重視しているのに、
現場には「売上」を追わせている。

結果、社員は粗利を下げてでも売上だけを取りにいきます。

すると、こうなります。
・忙しいのに利益が残らない
・社員は褒められない
・社長は現場に不満
・現場は社長に不満
・成果が出ない
・離職が増える

悪循環の完成です。

数字のズレは、会社の方向性そのものを狂わせます。

■ 対策:社長の見たい数字を“行動レベルに翻訳”する

例えば、
社長が「粗利」を重視するなら、
・粗利を上げるための行動
・高単価商品提案
・見積もり精度
・原価管理
・客層の見極め

こうした「粗利につながる行動」に落とし込むのです。

すると現場は、
「何のためにこの行動をするのか」
「どの数字を達成すると会社に貢献できるのか」
が明確になり、一気に動きやすくなります。

■ 最終的には、数字の意味を共有できる会社が強い

社長の見たい数字と、
現場が行動できる数字が一致した会社は、以下が起こります。
・行動と成果がつながる
・改善スピードが上がる
・成功体験が増える
・社員が納得して動く
・結果として離職が減る

方向性が揃った組織は、必ず強くなります。

【行動する社長へ】

この3つの構造問題を解消するだけで、
離職は驚くほど改善します。

そして重要なのは、
これらは“社長の決断ひとつ”で変えられる問題だということ。

役割を見える化する。
プロセスを評価に入れる。
数字の基準を揃える。

どれか一つでも着手すれば、会社の空気は確実に変わります。

3. 人を育てる会社は“価値観”を制度に落とし込む

人が育つ会社と育たない会社の最大の違いは何か──。

それは、
価値観が“言葉で終わっているか”、それとも“制度として日常に浸透しているか”
です。

どれだけ素晴らしい理念が掲げられていても、
ポスターに書いて壁に貼ってあるだけでは社員は動きません。

社長が熱く語っても、仕組みとして落とし込まれていなければ、
翌日には現場が元に戻ります。

つまり、価値観や理念は「制度」として形にしなければ機能しません。
制度とは「現場で迷わないようにするための仕組み」です。

人を育てる会社は、例外なく以下の3つを実現しています。

3.1. 会社の理念を“行動レベル”に翻訳する

理念とは、会社の存在理由であり、方向性を示すものです。
しかし多くの中小企業では、この理念が
“社長しか理解していない言葉”
になってしまっています。

例えば、
「お客様に感動を与える会社へ」
「地域に愛される企業を目指す」
「仲間を尊重し、共に成長する」

このような理念自体は素晴らしいものです。
しかし、社員はこう思っています。
「具体的にどう行動すればいいの?」
「感動って何?」
「尊重ってどんな状態?」

理念は抽象度が高いため、
行動レベルにまで落とし込まなければ伝わらないのです。

■ 理念を行動レベルまで翻訳するとは?

例えば、
「お客様を大切にする」という理念がある会社なら、
これを以下のような“行動”に翻訳します。
・電話は3コール以内に出る
・お客様の名前を必ず呼ぶ
・不満の兆しがあったら即日共有する
・初めてのお客様には社内でのルールを説明する
・クレーム対応後は振り返りを行う

これが「理念を行動に翻訳した状態」です。

理念がこのレベルまで具体化されると、
社員は迷いません。

強要されるのではなく、
“行動すれば理念に沿った動きができる”という安心感が生まれます。

■ 理念を行動レベルに落とし込む最大の効果

それは、
「社員の判断が社長の理想に近づいていく」
ことです。

理念が行動化されていない会社では、
判断は上司によってバラバラ、部門によってバラバラです。

その結果、
・クオリティが統一されない
・顧客対応に差が出る
・新人が育たない
・トラブルが増える

これは、理念が制度になっていないから起こる現象です。

理念を行動化することは、
経営者の理想を現場に“再現”させる最も強力な方法なのです。

3.2. 成長基準を明確にすることで社員が自走する

社員が会社を辞める理由の多くは、
「成長が実感できない」
「未来が見えない」
という不安です。

この不安を取り除くために必要なのが、
“成長基準”の明確化です。

■ 成長基準とは何か?

それは、
「どんな行動をすれば成長していると言えるのか」
「どのレベルになれば次のステージへ行けるのか」
という“目に見える道しるべ”のことです。

例えば、等級制度をつくるときは、
・必要なスキル
・期待される役割
・求められる行動
・成果の基準

これらを整理します。

この基準があるだけで、社員は変わります。

■ 社員は「未来が見える」と自走する

ここが非常に重要です。

社員は怠けたいわけではありません。
“何をすればいいのか分からないから動けない”
だけなのです。

成長基準が見えると、社員はこう思います。
「これをやれば評価される」
「次はこのスキルを身につけよう」
「自分はこの方向に成長していけばいいんだ」

社員は安心と同時に、強烈なモチベーションを得ます。

中小企業の強みは、
「成長基準を作れば即日、現場に反映される」
というスピードです。

■ 成長基準がない会社の落とし穴

成長基準が曖昧な会社では、
以下が必ず起こります。
・新人の育成が属人的
・上司によって要求レベルが違う
・昇格基準が曖昧で不公平
・頑張るほど不満が溜まる
・優秀な社員ほど辞めていく

これらはすべて仕組みの問題です。

■ 対策:成長基準は“シンプル”で良い

大企業のような複雑な制度は必要ありません。
・行動
・成果
・スキル
・姿勢

この4つを基準にした「自社オリジナルの成長表」を作るだけで十分です。

そして、
社員は「これをやれば評価される」と思えた瞬間、圧倒的に動き出します。

3.3. フィードバック文化で「育つ組織」へ転換

人が育つ会社の特徴のひとつは、
「フィードバックの量と質が高い」
ことです。

逆に、人が育たない会社は、
・褒めない
・教えない
・振り返らない
・注意は感情的
・評価は年に1回だけ

という状態になっています。

■ フィードバックがない組織は社員が迷う

人は、自分の仕事が正しいのか間違っているのか、
誰かが教えてくれなければ分かりません。

特に中小企業では、
「忙しいから」という理由でフィードバックが後回しになりがちです。

その結果、
・社員が成長しない
・同じミスが繰り返される
・不満が蓄積する
・離職が増える

という“悪循環ループ”が起こります。

■ いいフィードバックは短時間で十分

社員に必要なのは、
「長い説教」ではありません。

必要なのは、
・行動の振り返り
・改善ポイント
・良かった点の言語化
・次の一歩の方向性

この4つだけです。

これを5分で済ませる会社ほど、驚くほど人が育ちます。

■ フィードバック文化が会社を強くする理由

フィードバック文化には、以下の効果があります。
・社員が迷わなくなる
・成長スピードが加速する
・指示待ちが減る
・チームの雰囲気が良くなる
・問題が小さいうちに解決できる
・離職が減る

そして何より、
フィードバック文化は“経営者の理念を日々の行動に変える最も強い仕組み”
です。

フィードバックは制度を現場に浸透させる“伝達装置”の役割を果たします。

【行動する社長へ】──価値観を制度に落とす3ステップ

1.理念を行動に翻訳する
 → 哲学で終わらせず、行動レベルまで落とし込む。

2.成長基準を作る
 → 「何をすれば成長と言えるか」が見えると、社員は動き出す。

3.フィードバック文化をつくる
 → 日々の対話が制度を会社の血肉に変える。

この3つが揃った会社は、確実に人が育つ会社へ変わります。

そして、これらを実現できるのは──
社長であるあなたの決断だけです。

価値観を制度に落とし込み、
“育つ組織”へ変わる一歩を、ぜひ今日から踏み出してください。

4. 人事制度で会社が劇的に変わる3つのポイント

人事制度というと、
「複雑で大企業がやるもの」「うちにはまだ早い」
と感じる中小企業の社長は少なくありません。

しかし本当は逆です。

人事制度は、小さな会社ほど導入した瞬間に“劇的な変化”が起こります。

なぜなら、中小企業には
・密なコミュニケーション
・意思決定の速さ
・柔軟性
といった強みがあり、制度を入れればすぐに現場に反映されるからです。

つまり、
「制度を整える=会社の成長スピードを上げる」ことに直結します。

ここでは、数ある施策の中でも特に効果の高い
3つの改善ポイント
をお伝えします。

4.1. 評価制度は「社員を追い込む仕組み」ではなく「伸ばす仕組み」

多くの中小企業で起きている悲劇は、
“評価制度が社員を苦しめるための仕組みになっている”
ことです。
・数字未達 → 怒られる
・ミス → 注意される
・できていないことだけ指摘される

この状態では、評価制度どころか“罰の通知表”になってしまいます。

■ 評価制度の目的は「管理」ではなく「成長」

本来、評価制度の役割はただひとつ。

“社員を伸ばすための仕組み”
であるべきです。

そのためには以下の視点が不可欠です。

■ ① 良かった点を“言語化”して伝える

社員は「できていること」を知りたがっています。
・強み
・成長しているポイント
・以前より改善されている点

これを具体的に伝えるだけで、
社員は自信を持ち、次の行動量が大幅に増えます。

■ ② 改善ポイントは“責める”のではなく“提案する”

指導ではなく提案。
感情ではなく事実。
否定ではなく期待。

このスタンスの違いは、社員の行動を大きく変えます。

■ ③ プロセス評価を重視する

結果だけ評価すると、
「やっても無駄」という空気が広がります。

行動・努力・改善を評価することで、
社員は“頑張れば認められる”と感じ、自ら育っていきます。

■ 結論:評価制度ひとつで会社は変わる

評価制度の方向性を
「管理 → 成長」に変えた瞬間、
社員の動きは確実に変わります。

そしてその変化は、売上・利益にも直結します。

4.2. 役割と権限の明確化で“責任と成長”が同時に生まれる

中小企業で最も多い人材問題は、
「責任の所在が曖昧」
「誰が何をやるのか分からない」
という状態です。

この状態では、
・ミスが増える
・社員同士の衝突が増える
・新人が育たない
・社長の負担が増える
といった悪循環が起こります。

■ 社員は“曖昧な環境”では力を発揮できない

人が力を発揮できるのは、
「役割・責任・判断範囲」が明確なとき
です。

なぜなら、曖昧さは不安を生み、
不安は行動量を下げるからです。

これはどれだけ優秀な社員でも同じです。

■ 役割を明確にすると起きる3つの変化
① 社員の行動スピードが上がる

「自分の仕事」が明確だと、判断が早くなります。
迷いが消えるため、行動量が増えます。

② ミス・トラブルが減る

責任範囲が明確になるだけで、
確認漏れや伝達ミスが大幅に減ります。

③ 社長が楽になる

これが最も大きい効果です。

役割が曖昧な会社では
“全部社長に集まる”状態になりがちですが、
役割が明確になると現場の判断が進みます。

社長は本来やるべき「経営」に集中できます。

■ 成長は役割から生まれる

社員は責任を与えられると成長します。
これは全ての企業に共通する事実です。

しかし「放任」と「権限委譲」は違います。

重要なのは、
“役割と権限をセットで渡すこと”
です。

これができる会社は、人材育成の速度が圧倒的に速い。

4.3. 給与制度は“公平性×未来性”で設計する

給与制度は、社員のモチベーションに直結する超重要領域です。

しかし、多くの中小企業では
・給与の根拠が不明
・昇給基準が曖昧
・上司によって評価が変わる
など、感覚で運用されてしまっています。

この状態は、社員にとって最大のストレスです。

■ 給与は「金額」より「納得感」が重要

社員が辞める理由のほとんどは、
「給料が低いから」ではありません。

本当の理由は、
“この金額になった理由が分からない”
という納得感の欠如です。

納得感があれば、
少なくても社員は踏みとどまります。
納得感がなければ、
どれだけ高くても辞めていきます。

■ 公平性をつくる3つのポイント
① 評価基準を明確にする

「何ができていれば何点なのか」
「どの行動が評価されるのか」

これが可視化されていれば、
公平性は自然と生まれます。

② 給与テーブルをつくる

大企業のような複雑なものは不要です。
・等級
・ステップ
・給与レンジ

これがあるだけで、社員は安心します。

③ 昇給のステップを見える化する

社員は未来を知りたいのです。
「次はどうなるのか」
「どんな努力が必要なのか」
「いつまでに達成すればいいのか」

これを明確にした給与制度は、
社員の定着率を劇的に高めます。

■ 未来性を持たせると社員は辞めなくなる

給与制度には、“未来の希望”が必要です。

その希望とは、
“努力すれば昇給し、役割が広がり、成長できる未来”
です。

給与制度に未来性があるだけで、社員は会社に残り続けます。

【行動する社長へ】──制度で会社は劇的に変わる

最後に、この章のポイントをまとめると、
会社を変えたい社長がやるべきことは次の3つです。

① 評価制度を「成長支援ツール」に変える

社員を責める制度から、伸ばす制度へ。

② 役割と権限を明確化する

責任と成長が同時に生まれる。

③ 給与制度は“公平性×未来性”でつくる

納得感と成長意欲が生まれる。

この3つが揃った会社は、
驚くほど人が育ち、辞めない組織へ変わります。

そしてその変化は、
社長が“制度を整える”という一歩を踏み出す瞬間から始まります。

5. “人が育つ会社”をつくるための実践ステップ

人が育つ会社には、偶然はありません。
理念、人事制度、評価、給与、育成文化…
これらはすべて “意図して設計された結果” です。

逆に、人が育たない会社は、
仕組みではなく「偶然」と「気合い」で運営されている
ことが多く、社員によって業務品質に差が生まれ、離職も増えます。

つまり、
人が育つかどうかは“運”ではなく、社長の戦略で決まる
ということです。

その戦略を実行に移すために必要なのが、これから紹介する
「3つの実践ステップ」
です。

中小企業こそ、これを整えるだけで
組織は一気に強くなり、人が辞めない会社へ変わっていきます。

5.1. 最初にやるべきは「現状の見える化」

人事制度をつくる前に、必ずやるべきことがあります。
それが、
“今の組織がどうなっているかを正しく見える化すること”
です。

多くの中小企業では、これを飛ばしてしまい、
いきなり制度づくりに取り掛かります。
しかし、これは失敗の典型例です。

■ 見える化とは何か?
「社員が何に困っているのか」
「どの業務が属人的になっているのか」
「評価のどこに不満があるのか」
「成長の道筋はどうなっているのか」

これらを“事実ベース”で整理する作業です。

■ 現状を知らずして制度はつくれない

実は、ほとんどの離職原因は
社長が気づかない「現場の当たり前」に隠れています。

・曖昧な指示
・不公平な評価
・属人的な仕事の教え方
・上司による基準のブレ
・給与に対する納得感の欠如

これらは、制度を整えれば消えます。
しかしまずは、
“どこに改善ポイントがあるのか”を把握しないと始まりません。

■ 見える化は1週間でできる

大企業のような大掛かりな調査は不要です。
中小企業なら、以下だけで十分です。
・社員アンケート(簡易でOK)
・1on1で現場の声を聞く
・業務フローを書き出す
・評価方法を再確認する
・給与の根拠を整理する

これらを実施するだけで、
「今、何が組織の成長を阻んでいるのか」
がはっきりと見えてきます。

そして社長自身も驚くほど、
“課題は明確な場所に集中している”
ことに気づくはずです。

5.2. 制度設計は“自社に合う型”をつくることが最重要

現状が見えたら、次に行うのが制度設計です。
ただし、絶対にやってはいけないのが、

他社の制度をそのまま真似すること
です。

制度は会社ごとに全く違います。
事業、規模、文化、社員層、社長の価値観…
これらが違えば、制度が合わなくて当然です。

制度は“テンプレ”でつくるものではありません。
その会社だけの「型」をつくる必要があります。

■ 自社に合う制度とは?

以下の視点で設計された制度です。
・自社の文化に合っている
・現場が理解できる
・運用しやすい
・社長の価値観とズレない
・社員の成長レベルに合う

この「自社に合う制度」こそ、
組織に最速で浸透し、人が育ち始める制度なのです。

■ 制度が難しい必要はない

中小企業に必要なのは、
分厚い制度でも複雑な評価項目でもありません。
・行動基準
・成長ステップ
・役割と権限
・評価と給与のルール

この4つがクリアであれば十分です。

そして重要なのは、
“制度の目的は、社員を動かし、人を育てること”
であるという一点です。

制度を立派につくることが目的ではありません。
制度で組織を動かし、売上・利益・定着率につながる行動を生むことが目的です。

5.3. 運用定着のポイントは「小さなPDCAの積み重ね」

制度は、作って終わりではありません。
最も重要なのは、
“制度を現場で回し続けること”
です。

どれだけ素晴らしい制度でも、現場で使われなければ意味がありません。

■ 運用が失敗する会社に共通する3つの誤解
① 制度は完璧であるべき
→ 完璧を求めると動きません。
中小企業は「走りながら改善」が最も効果的です。

② 一度説明すれば伝わる
→ 人は一度では理解できません。
何度も説明し、習慣化されて初めて浸透します。

③ 社員が使わないのは“やる気がない”から
→ 違います。
多くの場合、制度そのものが使いづらいだけです。

■ 制度は“動かしながら改善する”のが正しい

制度運用の基本は以下の繰り返しです。
1.まず動かしてみる
2.使いにくい部分を修正する
3.さらに運用する
4.改善点があればまた修正

つまり、
「小さなPDCAを高速で回す」ことが何より大切
なのです。

■ 小さな改善で会社はみるみる変わる
・評価項目の見直し
・行動基準の追加
・役割の調整
・給与ステップの調整
・フィードバックの頻度変更

これらを月に1回見直すだけで、
驚くほど制度の精度が上がり、
社員の動きが変わっていきます。

■ 最終的に強い会社は“制度が呼吸している”

人が育つ会社に共通するのは、
制度を作った後も常に調整し、
自社にフィットし続けるよう進化させている点です。

制度が組織の文化になり、
日常の中で当たり前に使われ、
社員の判断を支え、成長を促し続ける。

その状態こそ──
“人が育ち、辞めない会社”が完成した状態
です。

【行動する社長へ】──今日からできる3つのステップ
① 現状を見える化する

社員の声・役割・評価・給与のルールを整理する。

② 自社に合う制度の型をつくる

大企業の真似は不要。
あなたの会社に合う制度を、シンプルに作る。

③ 小さな改善を繰り返し定着させる

制度は動かしながら育てるもの。

この3つのステップは、
大企業では真似できないスピードで、中小企業だからこそ実現できます。

そして、
会社が変わるのは、社長が一歩踏み出した瞬間から。

制度を整え、“育つ会社”へと変化する未来を、今日からつくっていきましょう。

まとめ

人が辞める会社と、人が育つ会社。
この両者の差は、才能や社員の質ではありません。
「仕組みの有無」 です。

多くの中小企業では、
社長が誰よりも頑張り、想いを持っていても、
制度が整っていないことで社員が育たず、
結果として社長ひとりに業務が集中します。

逆に、人が育つ会社は、
社員自身が動き、考え、改善し、成長していきます。
それは偶然ではありません。

“人が育つ仕組みを整えた会社だけが、人材の悩みから解放される”
という明確な事実があるからです。

その仕組みとは、決して難しいものではありません。
・現状の見える化
・自社に合う制度の型づくり
・評価基準の明確化
・役割と権限の整理
・公平で未来につながる給与制度
・小さなPDCAの継続
これらを段階的に進めるだけです。

中小企業ほど変化が早く表れます。
制度を整えた瞬間から、
「社員の動きが変わった」
「指示が通りやすくなった」
「新人が育つようになった」
と実感する社長は数多くいます。

そして何よりも大切なのは、
会社を変えられるのは、社長しかいないということ。

社員は制度を選べません。
未来を選ぶのは経営者です。

もし今、
「人がなかなか育たない」
「辞める人が多い」
「社長の負担が増え続けている」
と感じているなら、
それは制度を整える絶好のタイミングです。

制度は会社の未来をつくります。
そして制度づくりに遅すぎるタイミングはありません。

今日の小さな一歩が、1年後の“辞めない強い組織”をつくる。
未来を変えるのは、今動く社長です。

あなたは最高経営責任者として、どのように未来を変えていくおつもりでしょうか?