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今週のコラム 第106話:本気で売上・利益増加を目指すなら、最初に青写真を描け!

「髙窪先生、ちょっとご相談させていただいてもよろしいでしょうか?売上高を増加させるために、いろいろと頑張っているのですが、売上高○億円が壁になっていて、なかなか打ち破ることができません。私以上に営業ができる社員がいませんので、営業力を強化するために即戦力を中途採用して営業担当者を増員することを考えていますが、何か他に良い方法はありませんでしょうか?どうすれば壁を越えていけるのか、正月もずっと考えていたのですが、確信が持てるような施策が見つかりません。」──とある賀詞交換会でご一緒した社長からのご相談です。

あまりに真剣な眼差しでしたので、立ち話ではなく、場所を変えてお話をお伺いしました。

髙窪:「なぜ、売上高を増加させたいのですか?」

社長:「親から会社を引き継いで5年が経過したのですが、ずっとジリ貧の状態が続いています。会社の売上を大きくすることで、利益が増えれば、もう少し楽な経営ができると思うので・・・(汗)」

髙窪:「確かに、売上を増やせば、利益もそれに応じて増えます。でも、そのためだけに中途採用してまで営業担当者を増やすと、いろいろな弊害が起きるのではないでしょうか?」

社長:「えっ、そんなにいろいろな弊害が起こるものなのでしょうか?」

髙窪:「そうですね。例えば、売上増加に生産が追いつかなくなって納期が遅れる、増加運転資金が発生することを予定しておらず手元現金がショートしてしまう、ということはよく起こります。」

社長:「売上増加で納期が遅れるのはわかるのですが、手元資金がショートするというのは・・・」

髙窪:「現状の運転資金はどれくらいか、把握されていますでしょうか?」

社長:「いえ・・・経理部長に任せきりでして・・・」

髙窪:「では、簡単に説明しますね。例えば、月商が1億円(年商12億円)、商品が売れてから現金で回収するまでの期間が4ケ月後、商品の在庫が2億円(月商の2ケ月分)、仕入れや外注での支払期限が1ケ月後だと仮定すると、運転資金=売掛債権4億円(月商の4ケ月分)+在庫2億円(月商の2ケ月分)―仕入債務1億円(月商の1ケ月分)=5億円(月商の5ケ月分)となります。」

社長:「結構な金額になるのですね(驚)」

髙窪:「はい。ここから、売上を2倍にしたとすると、月商が2倍になりますので、運運転資金=売掛債権8億円(月商の4ケ月分)+在庫4億円(月商の2ケ月分)―仕入債務2億円(月商の1ケ月分)=10億円(月商の5ケ月分)となり、増加運転資金として5億円を追加で用意しなければならなくなるのです。」

社長:「そんなに現金はありません・・・」

髙窪:「でも、売上が増えれば、増加運転資金が発生して、支払いは待ってくれません。このことを社長がちゃんと理解していないと、最悪の場合、黒字倒産になってしまうのです。」

社長:「・・・」

髙窪:「利益を増やして、もう少し楽な経営をしようとしたはずなのに、単純に売上を増加させるだけでは全く逆の結果になってしまうのです。」

社長:「そんなことになるとは、全く考えていませんでした。」

髙窪:「ある日、突然に経理部長から、『社長、大変です!会社のお金がドンドン少なくなっています。』と言われて、よくよく調べてみると、増加運転資金が原因ということは結構あります。手元現金が潤沢であるか、すぐに銀行から融資を受けられればいいのですが、そうでないと黒字倒産に向かって一直線ですね。」

社長:「とにかく売上を増加させれば、利益が増えて、もう少し楽な経営をしようと考えただけなのですが・・・私は、どうすればいいのでしょうか?」

髙窪:「ご要望としては、『利益を増加させて経営を楽にしたい。』ということでよろしいでしょうか?」

社長:「はい。ずっとジリ貧の状態が続いていますので、それを解消したいのです。このままでは、会社をやっている意味がありません。」

髙窪:「わかりました。会社の利益を増加するには、次の4つの方法があります。
①単価アップで売上増を目指す、②数量アップで売上増を目指す、③変動費率ダウン、④固定費ダウン。社長が目指していた売上増加は②の方法ですので、決して間違いではありませんが、運転資金が増加するのが難点です。」

「このため、②を除いた、①③④の3つで対応したいのですが、③と④は経費削減であり、これまでいろいろとされてきたと思いますが、いかがでしょうか?」

社長:「はい。変動費、固定費という区別は意識しませんでしたが、かなりカツカツのところまでやっている認識です。これ以上やろうとすると、社内がギクシャクしてしまいそうです・・・」

髙窪:「わかりました。それでは、③と④も除いて、まずは①を先行させて、ある程度の資金的余裕ができてきたら②にも取り組みたいと思います。」

社長:「はい。でも①が簡単にできれば、これまでにも苦労していません。単価アップで売上増を目指すといわれても・・・」

髙窪:「やりたくないのであれば、これでお開きにいたしましょう。」

社長:「ちょっと待ってください。何でもやりますので!」

髙窪:「二言はありませんね!」

社長:「はい。」

髙窪:「これまでの延長では、何も状況は変わりません。これまでやってきたことの結果が今の状態なのですから、茨の道にはなりますが一歩一歩着実に進んで行きましょう。」

「ご認識のように、①単価アップで売上増を目指すことは簡単ではありません。ですが、現在ある商品群の中で、粗利益が高いものはありませんでしょうか?あと、売れ筋商品はどのようなものでしょうか?」

社長:「そんなに数は出ていませんが、Z商品は粗利益が高いです。売れ筋商品であれば、ずいぶん昔につくったB商品がいまだに根強く売れています。ただし、薄利多売といった感じですが・・・」

髙窪:「次に、どれくらいの利益を獲得すれば、楽な経営をできるようになるのでしょうか?」

社長:「営業利益を、現在の1千万円から5千万円に、5年後には1億円にしたいです。」

髙窪:「いいですね。では、営業利益で5千万円を実現するためには、Z商品をどれだけ売ればいいのですか?また、B商品を廃止することで、従業員や機械の余力はどれくらい出ますか?その余力で粗利益の高い新商品を開発することは出来ませんか?新商品とB商品を入れ替えたらどうでしょう?」

「営業担当者を増員しなくても、粗利益の高い商品の販売に注力したり、儲からないけど会社の資源を無駄遣いしている商品をリニューアルするとどうなるのか、シミュレーションしてみてください。」

社長:「はい。私の頭の中でのシミュレーションですが、獲得したい営業利益に近い数字を確保することができそうです。先生のおかげで経営に一筋の光明を見出すことができそうです。自社に戻り次第、実際に数字を弾いてみます。」

髙窪:「経営は逆算ですので、最初にどのようにしたいのか、「青写真」を描いてみて、どのようにするのがいいのか考える癖をつけてください。あとは、組織を回す仕組みづくりをすれば、売上増加へのアクセルを踏んでいただいても大丈夫になります。」

社長:「まずは、「青写真」ですね。逆算で考えてみます。ありがとうございました!」

とても晴れやかな笑顔でそう言い残して、年賀祝賀会の会場を後にされました(笑)。

本気で売上増加・利益増加を目指すのであれば、きちんと青写真を描いてから実行に移してください。そうしないと、「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」みたいな感じで無駄なことばかりで、回り道ばかりになってしまいますので・・・

ある程度の利益が出るようになったら、是非とも組織を回す仕組みづくりに着手してください。そうすることで、売上・利益を加速度的に増加させることが可能になります。

また、社長のあなたが本気で頑張れば、頑張るほど、役員や従業員にも伝播しますので、協力者がどんどん増えてくるはずです。もし、孤軍奮闘のままでしたら、少し方向がズレているかもしれませんので、ご相談ください。