今週のコラム 5月病は新入社員だけの問題ではなく経営者の問題と認識すべし!
「ゴールデンウイークが終わり、やっと落ち着いてきたと思っていたら、5月病が蔓延しつつあるようで・・・体調不良などと、いろいろな言い訳をしていますが、どうも弛んでいるだけのような気がして喝を入れたくなります。このご時世なので、そのようなことをするとパワーハラスメントにされてしまいそうですが・・・5月病の特効薬のようなものはありませんでしょうか?」──先日の個別相談を受けられた素材卸売業の社長からのご相談です。
新入社員が入社する4月から夏にかけての時期は、毎年、経営者が5月病に悩まされる時期です。「近頃の若い者は・・・」といいたくなる気持ちもわかりますが、最高経営責任者である社長はグッと堪えてください。そして、自分が若かった頃を思い出して、新入社員の目線で社長としての対応を見直してみてはいかがでしょうか?
目次
【5月病は新入社員だけの問題?!】
1.5月病とは?
学生から社会人となり、新たな環境に適応することによるストレスや疲労、梅雨などの季節の変化が原因で、春から夏にかけての時期に症状が現れる心身の不調が5月病と呼ばれています。具体的な症状としては、やる気の低下、集中力の低下、疲労感、不安感、イライラ、うつ状態、食欲の変動などが挙げられます。
2.5月病の発生原因は何?
確かに、教えてもらうのが当たり前で、正しい回答も必ずある学生の頃とは違って、新入社員になると自ら学んで、会社の役に立ち、稼ぐためにはどうすればいいのかを常に考え続けなければなりません。さらに、何が正しい回答であるかもわからない状況であっても、何らかしらの回答を持って対応しなければならないのです。
元学生からすれば、「???」の連続です。毎日、毎日、「???」が自分のところに飛んでくるのです・・・そして、これを当たり前にこなして対応している先輩方を目の当たりにして、自分の実力の無さを痛感します。万能感のあった学生時代から、無力感しかない新社会人の現実を突きつけられるのです…
また、あなたの会社ではこのようなことが起こっていませんか?
新入社員がA先輩に聞いたら「□□□でやれば大丈夫!」といわれたので、次の日にはその通りに「□□□でやっていたら」、今度はB先輩から「そんなやり方じゃダメだ!○○○でやるんだ!」とダメ出しされてしまった。
後日、さらにC先輩からは、「□□□でも、○○○でもない!△△△でやるのが正解!」といわれたとしたら・・・全体を俯瞰してみれば、□□□でも、○○○でも、△△△でも、一番肝心な◎◎◎さえ正しくやっていれば問題ないことだったりします。
でも、新入社員からしてみれば… (汗) 最終型は同じでも、先輩毎に途中のやり方が違うというのは、「□□□ですね!?」、「えっ、違うんですか・・・○○○?」、「また違う・・・△△△?どれが正しいの?!」と頭の中はパニック状態になってしまいます。
社内的には決まったマニュアルがなく、最終型さえ出来ていれば問題なし・・・
結構、このようになっている会社が多いように思います。製造業であれば、製造ラインがありますので、このようなことはないのですが、そうでない属人的な部分が多く残っている会社ではよくあることです。
3.5月病は新入社員だけの問題か?
5月病は新入社員にとどまらず、経営者にとっても重要な問題です。
新入社員が5月病になる最も大きな要因は、やるべき仕事が明確に示されておらず、将来に対する不安があることです。
これは経営者の怠慢や組織の風通しの悪さが原因となっています。多くの場合、新入社員には十分な仕事や役割が与えられず、将来のキャリア形成や会社のビジョンなどが明確でないために5月病が発生します。
そして、せっかく入社してくれた大事な戦力になるはずの新入社員が退職してしまうのです・・・5月病は単純な組織内の課題ではなく、経営者の責任として認識すべきです。
4.5月病を予防するために
それでは、新入社員の5月病を予防するためには、どのような対応をするべきなのでしょうか?
新入社員が5月病になる最も大きな要因を排除すればいいのですから、経営者は、新入社員にやるべき仕事を明確に示すとともに、将来のキャリアパスなどについてきちんと説明することが必要となります。
具体的には、経営者の怠慢や組織の風通しの悪さを改善することになります。経営者が率先して取り組むべきことと、風通しのよい組織を築くためのポイントを次に示します。
【経営者が率先して取り組むべきこと】
経営者は、新入社員が5月病にならないためには、以下の役割を果たす必要があります。
1.やるべき仕事の示唆
経営者は、新入社員に対して明確な仕事の指示や目標を示す役割を果たすべきです。新入社員が自分の役割や責任を理解し、成果を挙げることで、やる気や自信が生まれ、5月病を防ぐことができます。
2.ビジョンと目標の共有
経営者は、組織のビジョンや目標を明確にし、全従業員と共有することが重要です。新入社員が会社の方向性や将来についての不安を抱くことなく、自身の仕事が組織の成長に貢献していることを理解できれば、モチベーションが向上し、5月病のリスクが軽減されます。
会社が永続的に反映するためには、儲かるビジネスモデルを常に構築していかなければなりません。そして、儲かるビジネスモデルをどのようなものにするかを決定できるのは、最高経営責任者であるあなたしかいないのです。
組織のビジョンや目標を明確にし、全従業員と共有するためにも、今一度、経営計画書などの整備を徹底しましょう!
3.フィードバックとサポート
経営者は、新入社員に対して定期的なフィードバックを行い、成長の機会を提供する必要があります。具体的なアドバイスや教育プログラムの提供、必要なスキルや知識の習得をサポートすることで、新入社員が自信を持ち、5月病に対する抵抗力を高めることができます。
4.メンタリングやコーチング
経営者や上司が新入社員のメンターとなり、定期的なメンタリングやコーチングを行うことで、彼らの成長をサポートします。メンターは経験と知識を共有し、アドバイスやガイダンスを提供することで、新入社員の自己啓発と自信の向上を促します。
5.成功事例や最善の方法の共有
経営者は、成功事例や最善の方法を新入社員と共有することで、彼らの学びとモチベーションを高めることができます。経営者自身や上司が、自身の経験や成功体験を共有し、新入社員に示唆やインスピレーションを与えます。また、組織内での成功事例を定期的に共有することで、新入社員にとってのロールモデルを提供し、彼らの成長意欲を刺激します。
【風通しのよい組織を築くためのポイント】
経営者が風通しのよい組織を築くためには、以下のポイントに注力する必要があります。
1.コミュニケーションの促進
経営者は、オープンなコミュニケーションの文化を醸成することが重要です。従業員との定期的な対話やフィードバックセッションを通じて、彼らの意見や懸念を聞くことができます。また、組織全体の情報共有や意思疎通を円滑にするために、透明性の高いコミュニケーションチャネルを整備することも大切です。
2.チームワークと協力の促進
経営者は、協力とチームワークを奨励する環境を作り上げる必要があります。チームビルディング活動や共同プロジェクトの推進、情報共有の場の設置などを通じて、従業員同士の連帯感と協力関係を促進します。これにより、新入社員が安心感を持ち、組織に適応しやすくなります。
社内コミュニケーションの統一企画として、マニュアルが非常に有効に機能しますので、積極的に活用してください。新入社員のOJT(On the Job Training)を実施する際にも、マニュアルで業務を遂行する上で必要な水準を示すことができますので、大変有用です。
3. ワークライフバランスの重視
経営者は、従業員のワークライフバランスを重視する取り組みを行うことが重要です。柔軟な労働時間やリモートワークの導入、休暇制度の充実など、働き方の選択肢を提供することで、従業員のストレスを軽減し、5月病の発生リスクを低減させることができます。
4.成長とキャリア開発のサポート
経営者は、従業員の成長とキャリア開発をサポートする仕組みを整える必要があります。継続的なトレーニングやスキルアップの機会の提供、キャリアパスの明確化やキャリアプランニングの支援などを通じて、従業員が自己成長を実感し、5月病になりにくい環境を整えます。
5.働きやすい環境の整備
経営者は、従業員が働きやすい環境を整えるために努める必要があります。快適なオフィス環境の提供、健康プログラムやストレス管理のサポート、適切な労働条件の確保などが挙げられます。また、従業員の意見やフィードバックを反映させることも重要です。経営者は、従業員が働きやすい環境を共に創り上げるために、彼らの声に耳を傾け、必要な改善を行うことが求められます。
【まとめ】
5月病は新入社員だけの問題ではありません。経営者は、組織の風通しを良くし、新入社員に明確な役割や目標を示すことで、5月病の発生を防ぐことができます。
やるべき仕事の示唆、ビジョンと目標の共有のための経営計画書などの整備、コミュニケーションの促進、チームワークの促進、ワークライフバランスの重視、成長とキャリア開発のサポート、働きやすい環境の整備などが、経営者が取り組むべきポイントです。
経営者自身が率先して活動し、組織を風通しのよい環境に整えることで、新入社員の5月病を予防し、儲かる強い会社を築いていくことが重要です。
5月病が経営者の問題であることを認識し、経営者の役割と活動の重要性をきちんと理解し、新入社員とともに成功を築いていきましょう。
あなたは経営者として、何に取り組みますか?