今週のコラム 経営者同士の熱い想いが異業種コラボレーションを成功させる!
「いや〜。まさかこんなカタチで異業種コラボレーションができるとは思ってもいませんでした(笑)。共通の知り合いが、『経営理念が同じ感じだから、一度会ってみれば!?』と引き合わせてくれたのがきっかけなのです。引き合わせてくれなければ、お話しする機会もなかったと思います。」──とある経営者交流会でセミナーに登壇された社長の懇親会でのコメントです。
私もセミナーの案内を見ただけでは、あまりにも業種が異なり過ぎていて、どんなコラボレーション内容なのかさっぱりわかりませんでした(笑)
目次
【中小企業の異業種コラボレーションについて】
1.中小企業の異業種コラボの可能性
ですが、セミナーに参加し、まさに「目から鱗が落ちる」といった表現がぴったりな体験をさせていただきました。そして、日本が再びJapan as No. 1になる可能性を見出しました。
特に、中小企業が全体の99.7%を占める日本において、自社および自身の経営理念と同じまたは共感できる企業・個人事業者とのコラボレーションは、経営理念による経営を飛躍的に実現することが可能になります。
大手企業であれば、M&Aで買収企業の経営資源を取得し、時間短縮を図り、経営計画を早期に実現することが可能です。しかし、我々のような中小企業は、M&Aで企業を買収するような余裕はありません。
仮に買収することができたとしても、買収企業の経営資源を有効活用することが難しいので、M&Aが成功することの方が稀なのが現実です。まして、会社を組織として回す仕組みが整っていなければ、買収企業との融和が上手くいかずに会社が空中分解してしまう例が後を絶ちません。
でも、お互いの得意分野・スキルなどの経営資源を異業種コラボレーションで活用し合えれば、時間短縮を図るだけでなく、これまでに想像もしなかった化学反応を起こすことも可能になるのです。
ちなみに、今回のセミナーでは、お寺業界(お寺)と不動産業界(デザイン設計事務所)のコラボレーションが実現しています(驚)。
2.お寺業界について
まず、このお寺ですが、「みんながハッピーな世界の実現に貢献する」というスローガンを掲げて、寺院DX化を推進、HP・SNS・YouTubeなども活用し、檀家500名を10年間で5000名超と10倍に拡大されています。
お寺というと、「坊主丸儲け」、「寺は金持ち」というイメージが強いですが、人口減少による檀家の減少、宗教離れ(葬儀は無宗教で行い、お墓もいらない、散骨で十分)などで、約77,000ある寺院のうち、30,000が経営悪化により住職のいない「空き寺」になっています。日本のお寺は、我々が想像している以上の危機に瀕しているのです。
このような厳しい状況下、このお寺では自社の経験・ノウハウを活かして「寺院再生プロジェクト」を推進されています。
具体的には、寺院の「人がいない」、「お金がない」、「ノウハウがない」、「やる気がない」という4つのないで、思考停止になっている寺院に対し、これらを克服するために、「寺院向け勉強会の開催」、「空き寺を借り受け運営代行」、「寺院の支出ゼロのための永代供養墓開発事業」などをそれぞれ法人化した上で実施されています。なんと、この住職は4つの法人の代表なのです(驚)。
3.不動産業界について
次に、このデザイン設計事務所では、「建築力で人と街の魅力を輝かせ、豊かで自由な社会の実現を目指します」ということをコミットして活動されています。
具体的には、「空き家」問題を解決するために、「空き家×DIY移住」、「空き家×シェアハウス」、「空き家×ホテル」というように、減っている分野に増えている分野をつなぐことで、「場所の先に、ずっとつながることができる利用価値」という価値創造を実現しているのです。
4.お寺業界と不動産業界のコラボ?!
「寺院再生プロジェクト」で「空き寺」問題を解決しているお寺と、「場所の先に、ずっとつながることができる利用価値」という価値創造をして「空き家」問題を解決しているデザイン設計事務所の共通の知り合いが、両者を引き合わせます。
引き合わせた人物からすれば、人口減少・生活様式の変化などで日本各地の課題になっている、同じ「空き◯」の課題を解決している経営者を引き合わせるということで違和感がなかったようですが…
引き合わされた2名は、普段接している業界とはかけ離れた業界の相手なので何を話せばいいのやら、最初の会話にとまどったそうです(笑)
たわいない世間話から話し込んでいくうちに、「あれ!空き◯の課題解決!考えていること一緒?!」となり、その後は意気投合して時間も忘れて話し込まれたとのこと。
「空き家」問題を解決するためにやっていたことを、「お寺」に当てはめれば、そのまま活用できるのでは?!
そこからは、とんとん拍子に話が進み、「お寺×ヨガ教室」、「お寺×精進料理教室」、「お寺×デジタルデトックス+説法」、「お寺×体験型宿坊+インバウンド」などのコラボレーションが実現しています。
そして、これらコラボレーションで得た経験を、「寺院再生プロジェクト」に組み込むことで、さらなる水平展開による拡大を目指す!これにより、日本の寺院の経営危機が救えるとすれば、とても意義のあることだと思いますが、いかがでしょうか?
セミナー後のグループ討論では、「異業種交流会のあるべき姿、自己紹介のやり方を理念ベースに変える」、「これから経営理念やミッションなどを積極的に発言していく」、「新規事業こと異業種とのコラボで実現すべき」などという意見がでてきてとても盛り上がりました。
【異業種コラボレーションのメリット】
異業種コラボレーションには、以下のようなメリットがあります。
1.化学反応の生み出し
異業種からの知識や経験を持つ経営者同士が協力し、互いの専門知識や視点を組み合わせることで、新たなアイデアや創造的な解決策が生まれます。
異業種の組み合わせによるシナジー効果が、業績拡大や新規事業推進につながります。
2.リスクの分散
異業種コラボレーションにより、リスクが分散されます。単一の業種に依存することなく、複数の事業分野に展開することで、リスクの影響を軽減できます。
また、異業種のネットワークやリソースを活用することで、経営の安定性も高められます。
3.新たな市場の開拓
異業種コラボレーションにより、新たな市場を開拓することが可能です。異業種の顧客や需要を取り込むことで、新たなビジネスチャンスを見出すことができます。
また、異業種の顧客ベースを活用することで、自社の製品やサービスの付加価値も向上させることができます。
【異業種コラボレーションの成功要因】
異業種コラボレーションを成功させるためには、以下のポイントに注意することが重要です。
1.経営理念の共有
経営者同士がお互いの経営理念を共有し、共感することが成功の鍵となります。
経営理念の一致によって、経営者同士の信頼関係が築かれ、協力関係が強化されます。
2.パートナーシップの構築
異業種コラボレーションでは、パートナーシップを築くことが重要です。
経営者同士が信頼し合い、協力関係を構築することで、円滑なコミュニケーションや情報共有が可能となります。
3.リーダーシップとチームワーク
異業種コラボレーションを成功させるためには、リーダーシップとチームワークが不可欠です。
経営者同士がリーダーシップを発揮し、チーム全体を結束させることで、共通の目標に向かって協力できます。
4.リスクとチャレンジの共有
異業種コラボレーションは新たな挑戦です。成功するためには、リスクを受け入れ、失敗から学ぶ意欲を持つことが重要です。
経営者同士が共に立ち向かい、挑戦を続けることで、成果を上げることができます。
【中小企業オーナー経営者へのアドバイス】
中小企業オーナー経営者の方々に異業種コラボレーションを促すためのアドバイスをまとめました。
1.経営理念を熱く語る
自身の経営理念やミッションを熱く語り、他の経営者とのつながりを築きましょう。
異業種交流会やビジネスコミュニティへの積極的な参加が、新たなコラボレーションの機会を増やします。
2.異業種交流会への参加
異業種交流会や産業連携イベントに積極的に参加しましょう。
そこで他の経営者と出会い、経営理念やビジョンを共有する機会を得ることができます。異業種の視点や経験から新たなアイデアやビジネスチャンスが生まれる可能性があります。
3.相互の利益を見出す
異業種コラボレーションを成功させるためには、相互の利益を見出すことが重要です。
お互いの業界や事業における課題やニーズを理解し、どのようなシナジーが生まれるかを考えましょう。
相互に補完しあえる強みやリソースを持つ異業種とのパートナーシップは、成功への道を切り拓くことができます。
4.リーダーシップの発揮
異業種コラボレーションにおいては、経営者のリーダーシップが重要です。
自身のビジョンや経営理念を明確にし、チームを結束させる力を持つことが求められます。
また、柔軟な対応力や調整能力も必要です。異業種のメンバーと協力して進めるためには、コミュニケーションと協調性も大切です。
5.リスク管理と共有
異業種コラボレーションには、新たなリスクが伴います。リスクを事前に把握し、適切なリスク管理策を講じることが重要です。
さらに、リスクを共有し、失敗や困難にも共に立ち向かう覚悟を持ちましょう。失敗から学び、改善に取り組むことが成功への道を開くのです。
6.持続的な関係の構築
異業種コラボレーションは一度きりのプロジェクトではありません。持続的な関係の構築が成功の鍵です。
お互いのビジネスや成果を評価し、共に成長し続けるためには、継続的なコミュニケーションや情報共有が不可欠です。
異業種コラボレーションは中小企業オーナー経営者にとって、新たなビジネスチャンスを生み出す貴重な機会です。
熱い想いと経営理念を持ち、他の経営者とのつながりを築くことで、異業種コラボレーションが実現し、業績拡大や新規事業の推進につながります。
異業種交流会や産業連携イベントへの積極的な参加、相互の利益を見出す発想、リーダーシップの発揮、リスク管理と共有、持続的な関係の構築など、異業種コラボレーションを成功させるためのポイントを意識して活動しましょう。
【まとめ】
・中小企業はM&Aなどの手段で他の企業の経営資源を取得する余裕がないため、異業種コラボレーションが有効な選択肢となります。
・今回のお寺業界と不動産業界の事例のように、中小企業においては異業種コラボレーションの可能性が広がっており、経営理念に基づいた協力関係を築くことで業績拡大や新規事業推進が可能になってきています。
・異業種コラボレーションによる化学反応は、異なる経験や知識を持つ経営者同士が協力し、新たなアイデアや創造的な解決策を生み出すことができます。
・リスクの分散や新たな市場の開拓など、異業種コラボレーションには多くのメリットがあり、中小企業にとって非常に有益な取り組みであると考えています。
・経営理念の共有、パートナーシップの構築、リーダーシップとチームワークの発揮、リスク管理と共有などが異業種コラボレーションの成功要因となります。
・中小企業オーナー経営者は、自身の経営理念を熱く語り、異業種交流会への積極的な参加や相互の利益を見出す発想を持つことが重要です。
・リーダーシップの発揮、リスク管理と共有、持続的な関係の構築も異業種コラボレーションの成功に不可欠なのです。
異業種コラボレーションは中小企業オーナー経営者にとって、成長や新たなビジネスチャンスをもたらす重要な戦略です。
熱い想いと経営理念を持ち、異業種の経営者とのつながりを築くことで、相乗効果が生まれ、業績拡大や新規事業の推進が実現します。
異業種交流会や産業連携イベントへの積極的な参加、相互の利益を見出す発想、リーダーシップの発揮、リスク管理と共有、そして持続的な関係の構築を重視し、異業種コラボレーションの成功を目指しましょう。
あなたは経営者として、どのように熱い想いと経営理念を語り、異業種コラボレーションに取り組みますか?