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今週のコラム 経理が弱い会社ほど突然死する―その理由とは?

「いや~、最近どうもおかしいんです。売上はそこそこ伸びているのに、なぜか手元にお金が全然残らないんですよ。気づけば銀行残高も減ってきていて……。正直、このまま進むのが怖くてたまりません」
これは、先日ご相談いただいたサービス業の社長がおっしゃった言葉です。

詳しくお話を伺うと、原因は意外にもシンプルでした。
“経理の数字がまったく追えていなかった”のです。

実は同じ悩みを抱えている中小企業は非常に多く、
「忙しくて月次が出ていない」
「会計事務所に任せているから安心」
「大丈夫、感覚では黒字のはずだ」
といった“思い込み”によって、気づかぬうちに危険な状態へ進んでしまうケースが後を絶ちません。

売上が増えていても、利益があっても、資金がショートして会社が倒れることがあります。
そしてその大半は、経理の弱さが原因です。

「まさかうちがそんな危険な状態だなんて、思いもしませんでした」
これは、数字を整理したあとに多くの社長が口を揃えて言う言葉です。

経理の弱さはすぐに音を立てて崩れるわけではありません。
静かに、ゆっくりと、しかし確実に会社を追い詰めていきます。
そしてある日突然、資金ショックが訪れる。だからこそ恐ろしいのです。

本コラムでは、
なぜ経理が弱い会社ほど突然死しやすいのか?
そのメカニズムをわかりやすく解説し、今日から実践できる改善策をご紹介します。

あなたの会社は本当に安全でしょうか?
ぜひ読み進めて確認してみてください。

目次

はじめに

中小企業のご支援をしていると、黒字のまま突然資金が尽き、息が止まるように経営が止まってしまう会社を何度も見てきました。社長本人も「昨日まで普通に回っていたのに、なぜ急に…?」と驚かれるのですが、深掘りすると、ある共通点が必ず存在します。それが、経理が弱い会社ほど“予兆”に気づけず、突然死しやすいという事実です。

経理が弱い会社は、売上・利益・資金の状態を正確に把握できません。
つまり、“いま会社で何が起きているのか”が全く見えていない状態で日々の経営判断をしていることになります。これは例えるなら、スピードを出して走っている車なのに、スピードメーターも燃料計も壊れているようなものです。いつ止まっても不思議ではありません。

特に最近は、物価上昇・人件費増・資材高騰・金利上昇など、資金が一瞬で奪われる環境が続いています。こうしたときに、経理が弱い会社ほど「気がついたら残高がない」という事態に陥りやすいのです。社長は現場の対応や営業に追われ、自社の資金繰りを丁寧に追う余裕がなくなりがちですが、それこそが突然死を招く最大の理由となります。

経理は単なる事務作業ではありません。
経理は、会社の状態を“見える化”し、社長の意思決定を支える最前線の存在です。
ところが、多くの中小企業では「経理=入力担当」と捉えられ、育成が後回しにされます。その結果、現場任せ・会計事務所任せとなり、会社の実態を把握できないまま経営が進んでしまいます。

そして最も恐ろしいのは、突然死する会社ほど、直前まで社長自身が危機に気づいていないということです。

つまり、経理を強化するということは、“会社を守る”ための最優先事項なのです。

本コラムでは、なぜ経理が弱い会社ほど突然死するのか、その根本原因を5つの視点から明らかにし、どの会社でもすぐ実行できる改善策をお伝えします。

今日の取り組みが、あなたの会社の明日の存続を守ります。

1. 経理が弱い会社は「今の状態」が分からない

経営において最も危険なのは、「現状が見えていないこと」に気づいていない状態です。
多くの中小企業で起きているのはまさにこれで、数字が分からないまま日々の判断をしているという、非常に怖い状況です。しかも、この“現状が見えない”という問題は、社長自身が忙しく走り続けているほど気付きにくいという特徴があります。

多くの企業では、「売上は上がっている」「忙しいから大丈夫」といった感覚が優先され、数字を確認する習慣が後回しにされがちです。しかしその裏では、すでに赤字に転落していたり、資金が静かに流出し続けていたりするケースが後を絶ちません。

数字が出ない会社は、危機が来ても“音が聞こえないまま進んでいる車”と同じです。

ここからは、経理が弱い会社がなぜ「今の状態」を把握できないのか、その具体的な構造を3つの観点から解説します。

1.1 月次が出ない会社は、経営判断が1〜3ヶ月遅れる

月次が正確かつタイムリーに出る会社は、状況変化にすぐ対応できます。
一方、月次が出ない会社は、経営判断が必ず1〜3ヶ月遅れてしまいます。

例えば、ある製造業A社では、毎月の月次が出るのが「翌々月の25日」でした。つまり、3月の数字が分かるのは5月25日。その時点で3月に発生した問題を知っても、すでに4月・5月の状況は悪化している可能性があります。

この遅れが積み重なることで、
・コスト増に気づくのが遅れる
・売上の落ち込みの原因追及が遅れる
・固定費の圧迫に気づけない
・部署別採算が曖昧なまま続く
・資金繰りの悪化がそのまま進む

といった現象が起きます。

月次は会社の“健康診断結果”です。 それが出なければ、どこが悪いのかが分からないまま経営しているのと同じです。

私が支援した企業の中に、
「忙しいから月次は後回し」
「だいたい利益出ているはず」
と感覚で進めていた会社がありましたが、実際に数字を整理すると3期連続の赤字でした。
社長は「まさかここまで悪いとは…」と驚愕されていました。

月次が遅いだけで、会社は必ず弱くなる。
これは4,000社超を見てきた中で、間違いなく言える真実です。

1.2 売上と利益の“実態”を把握できず、赤字に気づくのが遅れる

経理が弱い会社は、
「本当の売上」「本当の利益」が分からない状態に陥っています。

特に危険なのは、
・売上の計上漏れ
・工事原価・仕入の未計上
・売掛金・買掛金のズレ
・在庫の増減が適切に反映されていない

などの小さなズレが積み重なっていき、実態と帳簿の間に大きなギャップが生まれることです。

そしてこのギャップこそが、赤字転落を見えなくし、経営判断を狂わせます。

ある小売業のB社では、
「月商1,500万円はあるし、大丈夫」
という社長の感覚とは裏腹に、実際の粗利率は急激に低下していました。
経理が弱く、原価データを正しく拾えていなかったのです。

数字を確認したところ、実質的な利益はほぼゼロ
忙しさだけが残り、キャッシュは減っていくという典型例でした。

売上はあっても、利益がなければ会社は必ず衰弱します。 利益の実態が分からない状態での経営は、赤字に気づくのが「半年遅れる」最悪のパターンです。

さらに問題なのは、赤字に気づいたときには
・人件費増
・仕入れ値上昇
・販管費の増加
・債務増加

などが同時に進行していることです。

つまり、
赤字に気づくのが遅れれば遅れるほど、改善コストが跳ね上がるのです。

1.3 会計事務所任せで“自社の数字”を見る習慣が育たない

多くの中小企業で起こっているもう一つの問題が、
会計事務所に丸投げしてしまい、自社で数字を見る習慣が失われることです。

もちろん会計事務所は専門家ですが、
・仕訳は事実を記録するだけ
・経営判断はしてくれない
・月次の遅れは改善してくれない
・資金繰りは見てくれない
・経営改善の責任者でもない

という前提を忘れてはいけません。

社長自身が数字を見る習慣がなければ、
・今月の粗利
・支払予定
・売掛回収状況
・資金残高の推移

などの重要情報を把握できず、経営の軸がブレていきます。

特に危険なのは、 「うちは会計事務所が見てくれているから大丈夫」
という思い込みです。

会計事務所は「記録」の専門家ですが、経営の責任者ではありません。
会社の数字を守るのは、最終的には社長です。

会計事務所任せにしている会社ほど、
・自社の数字に自信が持てない
・経理担当の育成が進まない
・経営の実態が分からない
・判断が遅れ、資金繰りが悪化する

という悪循環に陥っています。

まとめ:数字が分からない会社は、必ず弱くなる

ここまで見てきたように、経理が弱い会社は
・月次が遅れる
・現状が掴めない
・利益の実態が分からない
・会計事務所任せで改善しない

という“見えない危機”が積み重なり、突然死を引き起こします。

経理を強化するということは、「会社の状態を把握し、未来を守る」という最優先事項です。

社長が今日からできる改善としては、
・月次の締め日と提出日を決める
・粗利の実態を毎月把握する
・資金繰り表を自社で作る
・経理担当に基礎教育を行う
といった「小さな一歩」でも十分に効果があります。

数字が見える会社は強い。数字が見えない会社は弱い。
この違いが、半年後・1年後の会社の未来を大きく分けます。

2. 経理不備は“資金ショック”を引き起こす

経営者が最も恐れるべきものは、突然の資金ショックです。
「昨日まで普通に回っていたのに、今日になったら支払ができない」という状況は、黒字倒産の典型ケースです。
そして、この資金ショックは業績不振ではなく、経理不備から生まれることが非常に多いのが現実です。

売上の減少や市場環境の変化ではなく、
・資金繰り表がない
・請求漏れ・支払漏れ
・入金管理の不備
・資金の入口と出口を把握していない

といった内部的な問題が原因で、突然資金が詰まってしまうのです。

経理不備は、会社を一瞬で止める“見えないリスク”です。

ここでは、その具体的な構造を3つの視点から解説します。

2.1 資金繰り表を作れない会社は必ず資金が詰まる

多くの中小企業が陥っている最も重大な問題は、
「資金繰り表がない」ということです。

売上は伸びている、社員も増えている、仕事も忙しい──
それでも倒産してしまう会社には、一つだけ共通点があります。

資金の流れを“自分の会社として”管理できていない。

例えば、あなたの会社の
・3ヶ月後の資金残高
・6ヶ月後の返済額
・来月の支払総額
・資金不足月
・資金余剰月

が「数字で」言えるでしょうか?

多くの社長は、
「だいたい大丈夫」
「なんとなく回っている」
という感覚で経営しています。

しかし、感覚だけの経営は非常に危険です。

ある建設業C社のケースでは、社長は「忙しいから大丈夫」と安心していましたが、資金繰りを整理すると翌月に1,200万円の資金不足が発生していることが分かりました。
もしそのまま気づかずに突入していれば、確実に資金ショックに陥っていました。

会社のお金は、
・入金のタイミング
・支払のタイミング
・借入の返済
・経費の増減

などによって大きく変動します。

つまり、利益とキャッシュは別物なのです。

利益が黒字でもキャッシュは不足する。
利益が赤字でもキャッシュが回ることもある。

この構造を理解せず、数字を見ずに経営するのは、 ブレーキの効かない車で下り坂を走っているのと同じです。

資金繰り表を作れない会社は、
「どこで資金が詰まるか」
を把握できないまま進むことになります。

その結果、気づいた時には
・支払が間に合わない
・手形の決済ができない
・返済ができず条件変更
・社員の給与が払えない

など最悪の事態に直面します。

資金繰り表は、会社の生命線そのものです。 これがない状態は、視界ゼロで荒海に突っ込むようなものです。

2.2 請求漏れ・支払漏れが利益とキャッシュを静かに奪う

経理が弱い会社ほど、
「請求漏れ」「支払漏れ」が日常的に発生します。

この2つのミスは、表面化しにくく「静かに会社をむしばむ」のが特徴です。

■ 請求漏れの怖さ

請求が漏れると、
・売上が減る
・粗利が減る
・利益が減る
・資金が入らない
・取引先との信頼が落ちる

と複数の悪影響が同時に起きます。

あるサービス業D社では、請求書の発行管理が雑で、月に3〜5件の請求漏れが続いていました。累積すると年間の売上漏れは約360万円
社長は「そんなはずはない」と驚いていましたが、管理不備は数字に必ず表れます。

■ 支払漏れの怖さ

支払い漏れは、
・取引先からの信用低下
・督促の増加
・トラブル対応コストの増加
・未払い金の積み上げ

を引き起こします。

ある製造業E社では、支払漏れが原因で仕入先からの信用が低下し、取引条件が前倒しになった結果、キャッシュフローが急激に悪化しました。

請求漏れも支払漏れも、「1件のミス」が思わぬ資金ショックを生むのです。

特に経理が弱い会社は、
・担当者ひとりに依存
・管理体系が属人化
・チェック体制がない

という状態に陥っているため、ミスが起きるべくして起きる構造になっています。

経理体制が弱いほど、「見えないところで資金が漏れている」のです。

2.3 資金の入口と出口を管理できず、突発支出で一気に資金難へ

経理が弱い会社の多くは、
「資金の入口(入金)」「資金の出口(支払)」の全体像を把握できていません。

これは非常に危険です。

資金は、「入ってくる金額」「出ていく金額」が常に変動します。
その変動を把握できていないと、ある日突然、 “資金が一気に消える瞬間”
が訪れます。

● 突発支出が重なると一瞬で資金が尽きる

例えば、
・車両の故障
・機材の急な買い替え
・大型案件の仕入れの前倒し
・税金の支払
・ボーナス
・家賃・リース代の重複

これらが同じ月に発生すると、黒字の会社でも一瞬で資金が尽きる場合があります。

経理が弱い会社は、
・支払予定表がない
・入金予定表がない
・書類管理が曖昧
・担当者任せ
・システム化されていない

という状況が多く、突発支出が起きても、
「そんなに出ていくとは思わなかった…」
という反応になってしまいます。

● お金の流れは「予測できないと必ず詰まる」

資金の入口と出口を管理できない会社は、
・余裕資金がどれくらいあるか
・どの月が危険なのか
・資金不足がどのタイミングで起きるか

を把握できません。

そのため、
・買い替え判断
・投資判断
・採用判断
・仕入れ判断

感覚に頼ったものになります。

感覚での資金判断ほど危険なものはありません。

突発支出は予告なく発生します。
だからこそ、経理が弱い会社ほど、その衝撃をダイレクトに受けてしまいます。

■ まとめ:資金ショックは“突然”ではなく、 “準備不足の結果”で起きている

資金ショックは、決して突然起きるものではありません。
会社が資金ショックに陥る理由は明確です。
・資金繰り表がない
・請求漏れ・支払漏れ
・入口と出口の管理不足
・会計事務所任せ
・経理の属人化

これらが積み重なった結果として、 ある日突然、資金が止まる。

しかし逆にいえば、
今日から経理を整えれば、資金ショックは必ず防げます。

社長が今すぐできる改善は多くあります。
・資金繰り表を毎週更新する
・入金・支払の一覧を作る
・経理担当の育成を始める
・請求・支払のダブルチェック体制をつくる
・経理フローを見直す

これらの積み重ねが、会社の未来を守ります。

資金ショックは、正しい準備をすれば必ず防げる。

これは4,000社超を支援してきたなかで揺るぎない事実です。

3. 経理が弱いと「銀行評価」が急落する

多くの中小企業が見落としている深刻な事実があります。それは、経理が弱い会社ほど銀行からの評価が急速に下がるという現実です。

銀行は、過去3期の決算書だけで会社を評価しているわけではありません。
むしろ、銀行が最も重視しているのは 「月次の精度」「経営管理の質」「数字に対する姿勢」
です。

そして、経理が弱い会社ほど
・月次が出ない
・試算表の精度が低い
・資金の全体像が説明できない
・数字の根拠が曖昧

という状態に陥り、社長が気づかないうちに銀行の評価が急落していきます。

銀行は“説明できない社長”にお金を貸しません。

ここでは、経理が弱い会社がなぜ銀行評価を落とすのか、その構造を3つの視点からお伝えします。

3.1 月次未整備は“経営管理能力なし”と判断され融資が通らない

月次が出ない会社は、銀行から見れば 「経営管理能力が低く、融資をしてはいけない会社」
という扱いになります。

銀行員は、試算表の提出が遅れたり、月次が整備されていない会社を前にすると
・管理体制が弱い
・数字を把握していない
・経営の先読みができていない
・資金繰りが危険

と判断します。

実際、私が銀行で審査担当だったとき、
「月次が遅れている会社」
「提出された試算表に誤りが多い会社」
の融資は原則すべて否決でした。

理由は簡単です。

銀行は、「返済能力のある会社」にお金を貸すので、その前提となる 「返済能力を“管理できる会社”」に貸すからです。

月次がない会社は、
・今の利益がいくらか
・粗利率がどのように変化しているか
・資金繰りは安定しているか
・支払・入金の予定がどうなっているか

といった基本的な数字が分かっていません。

銀行はこう見ています。
「自社の数字が分からない会社に、返済計画が守れるはずがない。」
これは銀行の世界の常識です。

さらに悪いことに、月次が遅れている会社ほど
・社長が数字に詳しくない
・経理体制が弱い
・結果的に説明できない

という悪循環に陥ります。

つまり、月次が未整備なだけで、銀行は本能的に
「危険な会社」だと判断するのです。

3.2 試算表の精度が低いと、銀行は“信用できない会社”と扱う

試算表の精度は、銀行評価を左右する最重要ポイントの一つです。

銀行は試算表を見る際、
・売掛・買掛の整合
・棚卸の反映
・未払金の処理
・粗利率の一致
・月次の動き

など数十項目をチェックします。

しかし、経理が弱い会社の試算表は
・売掛や買掛がズレている
・棚卸が反映されていない
・粗利がぶれている
・売上と原価が計上月と一致しない

など、基本的な部分が整っていません。

銀行員はこう判断します。
「数字の精度が低い=信用できない会社」

銀行で一度「信用できない」という評価がつくと、
・追加融資が通らない
・運転資金を借りられない
・プロパー融資が否決
・金利が高くなる

などの影響が出ます。

実際に、あるサービス業F社では、
経理が弱く、月次の粗利率が毎月大きく変動していました。
銀行はその時点で
「原価管理できていない会社」
「数字の信頼性が低い」
と判断し、借入が非常に困難になっていました。

精度の低い試算表は、銀行から見れば
「危険信号」
以外の何ものでもありません。

銀行は“数字の信用性”を最も重視します。 数字が信用されなければ、会社そのものも信用されません。

3.3 返済条件変更・リスケの判断が遅れ、崖っぷちまで気づけない

銀行評価が落ちる最大の問題は、 危機に気づくのが遅れること
です。

経理が弱い会社は、
・月次が遅れる
・試算表が不正確
・粗利の実態が見えない
・資金繰りの全体像が分からない

という状態が続くため、
「返済が難しくなるタイミング」を予測できません。

つまり、
リスケすべき時期を見誤り、崖っぷちで初めて危機に気づく
のです。

銀行の世界では、
・遅延
・引き落とし不能
・資金ショート

が一度でも起きると、その瞬間に評価は急落します。

そこで初めて社長は銀行に相談しますが、
銀行の本音はこうです。
「なぜもっと早く相談してくれなかったのか?」

実際に、条件変更やリスケには
・決算書
・試算表
・資金繰り表
・再生見通し

などの資料が必要ですが、経理が弱い会社にはこれが整っていません。

結果として、
・必要な書類が揃わない
・説明できない
・話が進まない
・危険な期間が延びる

という最悪の状況に陥ります。

ある運送業G社では、
「資金ショート寸前で銀行に相談したが、試算表が整っておらず、話が進まず、その1週間後に重要取引先の引き落としが不能になった」
という事例もあります。

銀行にとって、
早く相談する会社=誠実で管理能力がある会社です。

逆に、
ギリギリまで相談しない会社=危険で管理能力が低い会社
だと判断されます。

経理が弱い会社ほど、危機に気づいたときには手遅れなのです。

■ まとめ:銀行評価は“経理力”で決まる

銀行評価は、決算書だけで判断されるものではありません。
・月次の整備状態
・試算表の精度
・資金繰りの把握
・説明力
・管理能力
・数字に対する姿勢

これらがすべて銀行の目に映ります。

経理が弱い会社は、銀行から見ると「融資してはいけない会社」に分類されます。

逆に、
経理が整っている会社は、
・融資が通りやすい
・金利が下がる
・交渉が有利になる
・銀行が味方につく

など、圧倒的に有利になります。

銀行評価を高めるために必要なのは、
・月次のスピードアップ
・試算表の精度向上
・経理担当の育成
・資金繰り管理の徹底

といった取り組みです。

経理が強い会社は、銀行に強い。
銀行に強い会社は、経営が強い。
これは間違いのない真実です。

4. 属人化した経理は会社の成長を止める

中小企業の経営相談をしていると、驚くほど多くの会社で共通していることがあります。それは、経理が“ひとりの担当者に依存”しているということです。
経理担当者が真面目で責任感が強ければ、短期的には業務が回るため問題がないように見えます。しかし、その裏側では、会社の成長を止めてしまう深刻なリスクが静かに積み上がっていきます。

属人化した経理は、外からは見えません。
社長自身も「うちの経理は優秀だから大丈夫」と安心しがちですが、実態はその逆です。 経理がひとりに依存している状態ほど、会社を危険に晒すものはありません。

ここでは、属人化が会社にもたらす具体的な問題を3つの視点から解説します。

4.1 ひとり経理が突然退職すると、会社が“即停止”する

属人化した経理の最大のリスクは、 「ひとりが辞めた瞬間に会社が止まる」
という現実です。

多くの中小企業では、経理担当が
・仕訳入力
・買掛・売掛管理
・資金繰り
・請求書発行
・支払処理
・給与計算
・社会保険対応

など、すべてを一人で抱えています。

その人が急に
・退職
・病気
・家庭の事情
・メンタル不調

などで離脱した瞬間、次のような事態が起こります。

「支払の段取りが分からない」
「入金漏れに気づけない」
「給与計算ができない」
「税金の納付が遅れる」
「資金繰りの全体像が誰も説明できない」
「銀行とのやり取りが滞る

これらは、どれも会社の生命維持機能に直結する業務です。
たった一人の離脱で、会社の機能が完全に停止するのです。

実際、私が支援した企業でも、経理担当者が急に辞めた途端、
・何がどこにあるのか
・どの支払がいつあるのか
・どの請求書が未発行なのか
・銀行への説明内容

がまったく分からずに 資金ショック寸前になった事例がありました。

社長はこう言いました。
「こんなに経理が重要だとは思っていなかった」

しかし、それは多くの中小企業で起きている現実”です。
ひとり経理に依存している時点で、会社は危険な状態なのです。

4.2 マニュアルがなく、誰も再現できない“ブラックボックス化”

属人化した経理では、
業務の手順や判断基準が担当者の頭の中にしか存在しません。

これは完全なブラックボックス状態であり、会社の成長を確実に妨げます。

具体的には、以下のような問題が起こります。
・同じ業務でも人によってやり方が違う
・どこに何のファイルが保存されているか誰もわからない
・チェック体制がなくミスを見つけられない
・新しい担当者が引き継げない
・属人化が進み、担当者の負担がどんどん増える

特に危険なのは、 業務手順が“暗黙知”でしか存在しない会社は、長期的に必ず経理崩壊が起きる
ということです。

ブラックボックス化が進むと、担当者本人も
「自分以外にはできない仕事が積み上がっていく」
という状態になります。これが負担を大きくし、長期的には退職につながりやすくなるのです。

また、ブラックボックス状態だと、
・無駄な作業が多い
・生産性が低い
・作業時間が長い
・経理コストが上がる
という状況に陥ります。

さらに、最大の問題はこれです。
ブラックボックス化した経理は、会社が“数字をコントロールできない状態”を生む。

数字をコントロールできなければ、会社の未来もコントロールできません。
だからこそ、マニュアル化と仕組み化は絶対に欠かせないのです。

4.3 人材育成を怠ると、ミス・不正のリスクが急上昇する

属人化は、経理のミスや不正を生みやすい環境を作ります。
そして恐ろしいことに、ミスや不正は「担当者の性格」ではなく
「仕組みのなさ」が原因で発生
するのです。

具体的には、以下のようなリスクが生まれます。
・二重支払や請求漏れ
・入金のズレ
・売掛金・買掛金の管理ミス
・在庫差異の発生
・小口現金の不正使用
・虚偽の経費計上
・取引先との不正なやり取り


特に、ひとり経理体制では
・誰もチェックしない
・誰も指摘できない
・誰も気づかない

という空気が生まれます。

これは担当者にとっても責任が大きく、
プレッシャーが積み重なると、正常な判断ができなくなる
という悪影響を及ぼします。

また、人材育成を怠った会社で多いのは、
担当者の自己流で経理が進む
という状態です。

自己流の経理は、最初は問題がなくても
・勘定科目の誤り
・原価計算の不備
・税務リスク
・書類の不備
・月次の精度低下

といった形で、必ず歪みが表面化します。

経理の属人化は、
「会社にとって最大級のリスクを内包する」
ということを、経営者は理解しなければなりません。

そして、このリスクは 経理担当者に責任があるのではなく、育成しなかった会社側に責任があります。

■ まとめ:属人化を放置する会社は必ず成長が止まる

属人化した経理は、会社の成長を確実に止めます。
・担当者が辞めたら会社が止まる
・ブラックボックス化が進み、数字の信頼性が落ちる
・ミス・不正のリスクが上がる
・経理の負担が増え、人材が定着しない
・銀行評価が下がる
・資金管理が崩れる

これらはすべて、会社の存続に直結する重大な問題です。

しかし逆にいえば、
属人化を解消した瞬間、会社の未来は一気に明るくなる
ということでもあります。

社長が今日からできる改善は多くあります。
・経理業務を洗い出す
・マニュアルを作る
・チェック体制をつくる
・経理担当の育成を始める
・業務の分担を再設計する

これらは小さな一歩ですが、その小さな積み重ねが会社の未来を守ります。

経理が強い会社は、成長スピードが速い。 属人化した経理は、会社の成長を必ず止める。

これは、多くの中小企業を支援してきた中で揺るぎない事実です。

5. 経理が弱い会社は「未来の数字」をつくれない

経営とは、過去の数字を見ることではなく、未来の数字を“つくる”ことです。
ところが、多くの中小企業では経理が弱いため、未来の数字が描けないまま、感覚に頼った経営が続いているのが実情です。

本来、未来の数字とは
・売上がどう推移するのか
・粗利率はどう変化していくのか
・固定費をどこまで圧縮できるのか
・来月の資金残高はどの程度なのか
・3ヶ月後に資金に余裕があるのか
・投資すべきかどうか
・人材採用が可能か

といった、経営判断に直結する極めて重要な情報です。

しかし、経理が弱い会社では、 未来を読むための“基礎データ”が存在しない
ために、社長がどれだけ優れていても正しい経営判断ができません。

ここでは、未来の数字をつくれない会社がどれほど危険なのか、3つの視点から解説します。

5.1 投資判断や新規事業判断が感覚頼りになる

経理が弱い会社では、投資判断や新規事業の判断が“感覚”に頼りがちになります。

たとえば
・設備を買うべきか
・新しい車両を導入するべきか
・新規店舗を出すべきか
・広告費を増やすべきか
・人材を採用するべきか

これらは本来、数字をもとに判断すべき意思決定です。

しかし、経理が弱い会社は、
・事業別の利益が分からない
・固定費がどれだけ必要か不明
・回収と支払のタイミングが掴めない
・投資後の資金繰りが読めない
・粗利率が安定していない

という状態に陥っています。

その結果、
「忙しいから必要だろう」
「うまくいくはずだ」
という感覚だけで投資をしてしまうケースが多いのです。

これは極めて危険です。

ある製造業H社では、仕事が増えてきたことで新しい機械を購入。しかし、
・粗利率の低下
・原材料高騰
・回収の遅れ

が重なり、購入からわずか4ヶ月で資金ショックが発生しました。

社長は「こんなに早く資金が尽きるとは思わなかった」と語りましたが、その根本原因は“未来の数字がなかったこと”にあります。

感覚だけの投資判断は、会社を一瞬で危険な状態に追い込む。

数字が弱い会社は、未来への道筋が見えないため、攻めようとして失敗するケースが多発します。

5.2 固定費・変動費の構造が分析できず、利益改善が進まない

経理が弱い会社は、固定費と変動費の区分が曖昧なまま経営を続けています。

固定費と変動費の構造を理解していないと、
・どこを削れば利益が増えるのか
・利益率が改善しない理由
・売上が増えても利益が伸びない謎
・どのラインが利益の黒字・赤字か
・人件費のどこが負担になっているか

が分かりません。

これでは利益改善は一向に進みません。

例えば、毎月500万円の固定費がある会社が、
粗利率30%の商品を扱っている場合、固定費500万円を、粗利で回収しきるには
固定費500万円 ÷ 粗利率30%(0.3)
= 1,666万6666円…
最低でも売上1,667万円を超えなければ利益は出ません。

しかし、経理が弱い会社では、
「たぶん売上が足りないのだろう」
「もっと営業を頑張れば改善する」
といった、根拠のない経営判断が続きます。

この状態でいくら頑張っても、利益は増えません。
なぜなら、何が利益を奪っているのかが見えていないからです。

ある飲食業I社では、
・人件費高騰
・ロス増加
・固定費の上昇

を数字で把握できていなかったため、
「売上を上げればどうにかなる」と信じて店舗を増やしました。

しかし実際には、粗利が悪化していたため、店舗を増やすほど赤字が拡大する悪循環に陥りました。

このように、数字を見ない経営は、
努力が報われないどころか、努力するほど悪化していく
という最も残酷な結果を生みます。

利益改善が進まない最大の理由は、“数字を見ていない”ことにあります。

5.3 未来予測ができないため、成長局面で“攻める勇気”が持てない

未来の数字をつくれない会社のもう一つの特徴は、
成長局面で攻めるべきときに、勇気が出ない
ということです。

本来、事業には
* 攻めるべきタイミング
* 守るべきタイミング
があります。

しかし、経理が弱く未来が読めない会社は、
・いつ資金が尽きるのか
・どの月に余裕が生まれるのか
・新規投資をしても耐えられるのか
・何人採用しても大丈夫なのか

が分かりません。

数字が見えていないため、
攻めるべき瞬間を逃してしまうのです。

たとえば
・競合が弱っている
・市場需要が急増している
・大きな引き合いが来ている
・新しい取引先が増えている

という絶好の機会が来ても、
「今はリスクが高い気がする」
「タイミングじゃないかもしれない」
と判断してしまいます。

一方、経理が強い会社は、未来の数字を基に
・投資に耐えられるのか
・増員が可能か
・設備投資は何ヶ月で回収できるか
・資金不足はいつ来るのか
・どの事業が伸びているのか
を明確に理解できます。

そのため、攻めるべきタイミングで迷わず攻めることができるのです。
ビジネスの世界では、 「攻める勇気」は、“数字の裏付け”がある会社にしか生まれません。

未来が読める会社は強い。
未来が読めない会社は、チャンスが来ても動けない。

これは中小企業の成長スピードを左右する決定的な違いです。

■ まとめ:未来の数字をつくれない会社は伸びない

ここまで見てきた通り、経理が弱い会社は
・投資判断が感覚頼り
・利益が改善しない
・チャンスに攻められない
という構造的な問題を抱えています。

しかし逆にいえば、
未来の数字さえつくれるようになれば、会社は一気に強くなる
ということでもあります。

未来の数字をつくるために必要なのは、
・正確な月次
・固定費・変動費の把握
・資金繰り管理
・経理担当の育成
・部門別・商品別採算管理

といった基本の徹底です。

数字が見える会社は強い。 未来の数字をつくれる会社は、必ず成長する。

まとめ:未来の数字をつくれない会社は伸びない

ここまで見てきた通り、経理が弱い会社は
・投資判断が感覚頼り
・利益が改善しない
・チャンスに攻められない

という構造的な問題を抱えています。

しかし逆にいえば、
未来の数字さえつくれるようになれば、会社は一気に強くなる
ということでもあります。

未来の数字をつくるために必要なのは、
・正確な月次
・固定費・変動費の把握
・資金繰り管理
・経理担当の育成
・部門別・商品別採算管理
といった基本の徹底です。

数字が見える会社は強い。
未来の数字をつくれる会社は、必ず成長する。

この一歩を踏み出すことで、あなたの会社の未来は間違いなく変わります。

あなたは経営者として、どのように一歩を踏み出されますか?