ビジョン実現コンサルティング

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今週のコラム 経営者なら現状を突破して新しいステージに立て!

「今年は東京オリンピックで景気が回復してくれることを願っていましたが、緊急事態宣言だけでなく、半導体不足などの影響もあり、生産計画が大幅に狂ってしまいました・・・今後、電気自動車への流れが加速することを考えると、これまでのやり方では先細りにしかなりません。何かいい対応方法はありませんでしょうか?」──自動車関連の部品加工業を経営されている方からのご相談です。

確かに、この経営者の方がおっしゃる通り、感染症にはじまり、変異株に翻弄された1年だったのではないでしょうか。そして、世界各国での感染拡大にともない、各地で生産されていた部品などを集めて完成品をつくっていた自動車メーカーなどでは、半導体の生産が間に合わず、全体の生産量を減産せざるを得ない状況に陥りました。

サプライチェーンで商品を提供している業態・業種では程度の差こそあれ、これと同じように、様々な影響を受けた企業が多かったのが現実です。特定部品の生産がストップしたために、サプライチェーン全体の流れが滞り、特定部品の生産量に合わせざるを得ない。このため、自社の工場の稼働率が大幅に低下・在庫が積み上がる事態に・・・

サプライチェーンの影響による減産で、「川上(かわかみ)」、「川下(かわしも)」を改めて意識された経営者の方も多いのではないでしょうか?

原料・素材の仕入れ、部品の製造、組み立て、卸売り、小売りなど、商品が消費者の手に渡るまでのサプライチェーンで、原料となる鉄鋼産業やガラス産業が川上産業、それらの素材をもとに部品を作るのが川中産業、部品を組み立てて、製品を取り扱う自動車メーカーが川下産業となります。

それぞれの産業が連携し、サプライチェーンが機能しているときは、決して意識されることはありませんが、今回の半導体のように一部で欠品がでると、川の流れが止まってしまい、生産停止・減産という現実を突きつけられることになります。

特に、大手企業を中心として生産性向上のために「必要なものを、必要な時に、必要なだけ生産する」という「JIT(ジャスト・イン・タイム)」が導入されており、一気に表面化しました。

「貴社の場合、特定の企業(A社)への納品が◯割を超えているとのことですので、是非、これまでと違う分野・産業で新しい取引先を開拓していただき、A社への依存比率を下げるようにされてはいかがでしょうか?!サプライチェーンの影響は避けられませんが、分野・業種を変えることで、今回のような減産リスクを分散させることは可能です。」とアドバイスさせていただきました。

この経営者の方からは、「これまでいろいろと助けていただいた御恩もあるので、裏切るようなことはできない!」とのコメントがありました。確かに、これまでいろいろと支えていただいたことも事実だと思いますので、お気持ちは理解できます。

しかし、経営者である以上、きちんと利益を出し続けて会社を存続・繁栄させていかなければなりませんし、従業員やその家族の生活も経営者の双肩にかかっているのです。時代の流れで、今後、電気自動車へのシフトが確定している状況では、新しい分野・業態へのアプローチをしていかなければ先細りの結果として業務縮小・廃業も視野に入ってくることになりかねません。

「座して死を待つよりは、出て活路を見出さん」という諸葛孔明の言葉はご存知かと思いますが、敢えて申し上げます。「何もやらずにじっとしているのではなく、やるだけやってその中から経営者としての選択肢を見出したほうがいい」とは思いませんか?

確かにこれまでの経緯等、私の想像が及ばないほどにいろいろなことがあったと思います。ただ、これまで寄り添ってきたことで十分に恩に報いたのではないですか?

どうしても、裏切るような感じが払拭できないのであれば、これまで通りの関係を続けていただいて結構です。ただし、これまでの活動に加えて、新しい分野・業態への新規営業をプラスしてください。これには、あなたの会社の未来がかかっているのです。あくまでプラスの活動ですので、これまでの取引先への裏切り行為にはなりません。

これまでやったことのない新しい分野・業態への新規営業ですので、人員を増やしたいところですが、足元の状況を鑑みると現在の人員でどのように対応するかを考えましょう。いい機会ですので、現在の社内事務・営業体制など、全ての業務について見直しをして、マニュアル化することで効率化を図り、余剰となった人員分を新規営業にまわすのはいかがでしょうか?

イメージは「ハンバーガーチェーン」の業務運営です!
どのハンバーガーチェーンも、独自のマニュアルに基づき、業務運営の内容がきちんと定められています。このため、学生のアルバイトでも少しの見習い期間で、一人前の業務ができるようになることはご存知ですよね。

社内事務だけでなく、営業体制も同様の対応が可能です。あなたの会社独自の営業マニュアルを作成し、営業の内容をきちんと定めることで、新入社員や中途入社だけでなく、事務職でも営業を担う人員にすることが可能になるのです。

もちろん、それを実現するためには、非常に内容の濃いマニュアルを作成する必要がありますが、経営者であるあなたがきちんと現場に指示を出せば十分に対応可能です。現場が、「ハンバーガーチェーンの業務マニュアル」並みのマニュアルを作成している間に、経営者であるあなたは「マニュアル化」と「新しい分野・業態への新規営業」も考慮した経営計画を作成してください。

当然、一気に全てを変えることは難しいので、いつまでに何をするかを明確にしましょう。
そうすることで、従業員にもいつまでに何をしなければならないかを示すことができますし、「マニュアル化」の推進にもつながります。

このような動きが社内に定着することで、社内事務や営業体制などのマニュアル見直しを定期的に行うことができるようになります。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)への変革の下準備(デジタイゼーション→デジタライゼーション→デジタルトランスフォーメーション)を整えることにもなります。

経営者であるあなたが「座して死を待つよりは、出て活路を見出さん」ということで動き出せば、社内事務・営業体制のマニュアル化・効率化が進むとともに、新しい分野・業態への新規営業体制の構築だけでなく、DX(デジタルトランスフォーメーション)への変革の下準備もできるのです。

このように混沌とした時代だからこそ、現状を突破して新しいステージに立つために、経営者であるあなたがリーダーシップを発揮して、従業員の活性化と会社の繁栄につなげてください。

あなたは、この混沌とした時代にどのような経営をされるおつもりでしょうか?
是非、現状を突破するためにはじめの一歩を踏み出して、新しいステージに立ってください。
経営者として陣頭指揮をとり、強くて素敵な会社をつくる醍醐味を味わいましょう。