今週のコラム 規模の小さい中小企業こそ、稼ぐ仕組みづくりに注力せよ!
とある展示会に参加した際、小規模メーカーの威勢のいい営業担当者の方から、
「ウチの商品を是非見ていってください!」と声をかけられ、ブースで説明をしていただきました。
確かに、優れた商品であることはわかるのですが、他社でも同程度の商品はありそうです。実際に契約して商品を導入するとなると、当然ながら競合他社との比較をすることになります。
このため、
「御社の展示している商品で、他社との最大の違いは何ですか?
また、その違いは、どのようなメリットを私が享受できるのでしょうか?」と質問しました。
「他社との最大の違いですか・・・えっと、そうですね・・・AIを活用しているところですね(汗)」と要領を得ないために、上司の方に変わっていただきました。
その後、上司の方から説明をいただき、大枠は理解しましたが、なぜそのような方法でのAI活用をしているのかという点については、十分な説明がありませんでした。
最終的には社長にご説明いただき、どのような顧客のニーズに応える商品なのか、その顧客ニーズに対して最大メリットを追求した結果として、このような方法でAI活用をしているということが理解できました。
今回、私が敢えて質問をして、その回答に納得できなければ上司の方をお願いしましたが、展示会ではそこまで突っ込んでくる参加者ばかりではないはずです。質問をして満足な回答が得られなければ、見切りをつけて「もうここはいらない。次を見て考えよう!」となるのが一般的ではないでしょうか?
これに対して、大手メーカーのブースに立ち寄ったときは、同じ質問をしても担当者が十分な回答をしてくれただけでなく、担当者が「この商品を企画・開発した人物を連れてきますので、納得がいくまでご質問してください。」と、開発担当者も同席していただくことに。
なかなか聞きにくいところまで、いろいろと質問させていただきましたが、十分に納得のいく説明をいただき、商品に対する購買意欲が一気に高まりました。
これだけではありません。
大手メーカーでは、派遣社員にパンフレットを持たせて、ブースに立ち寄った参加者に対してパンフレットを渡す際に、ネームタグのバーコードを読み取ることをルーティンにしているのです。
そして、パンフレットを受け取るだけで満足せず、商品の説明を受けたい参加者には、社員へとつなぐことで、クロージング対応への流れをつくります。パンフレットを受け取るだけの参加者には、後日、メーリングリストへ追加するとともに、顧客属性等を確認した上で、営業担当者が後日訪問するという流れができているのです。
また、大手メーカーではデモンストレーションやセミナーでも、同様のことが行われています。
デモンストレーションやセミナーで集客するとともに、派遣社員(または社員)が毎回同じ内容を説明して、興味を示している参加者には詳細を社員が個別説明していくのです・・・
そして、説明する社員のレベルが一定以上となるように、きちんと社内でマニュアルなどが定められている。さらに、社員が自分で対応できるレベルを超えてくる参加者に対応した際は、専門家・上司への連携がフローとして予め決められているのです。
<フロー①>
ブース立ち寄り
↓
派遣社員 → (参加者が満足)リリース(後日アプローチ)
(パンフレット手交・バーコードで参加者情報を入手)
↓
社 員 → (参加者が満足)リリース(後日アプローチ)
(詳細説明)
↓
専門家・上司(参加者が満足)→リリース(後日アプローチ)
(更なる詳細説明)
<フロー②>
デモンストレーションまたはセミナー参加
↓
派遣社員・社員 → (参加者が満足)リリース(後日アプローチ)
(デモンストレーションまたはセミナー実施)
↓
社 員 → (参加者が満足)リリース(後日アプローチ)
(詳細説明)
↓
専門家・上司(参加者が満足) → リリース(後日アプローチ)
(更なる詳細説明)
当然ながら、注力している商品などの違いにより、集客のやり方は異なりますが、大手企業が独自のフローをきちんと定めて、派遣社員・社員などに徹底しているのに対して、中小企業では場当たり的な対応が多いように感じています。
本来であれば、我々のような中小企業こそ、少ない人員で対応・成果を上げるために、集客について独自のフローをきちんと定めて、派遣社員・社員などに徹底しなければならないのです。
しかし、「展示会に間に合わせるのに精一杯で、集客のフローまで手が回らない」のが、我々中小企業の実態だったりします・・・
なので、クライアントが展示会に出展する際には、必ず参加するようにして、実際にきちんと集客フローが機能しているのか、他社と比べてクロージング対応などはどうなっているのかをチェックしています。
規模の大小ではないのです。展示会に限らず、如何にして、集客フローをきちんと仕組みとして組織に定着させているかが、今後の成長・発展のカギとなるのです。
また、商品・サービスをリニューアルしたり、新商品を開発して利益を確保するための仕組みや、経営するのに必要な運転資金を極小化する仕組みなど、いろいろな稼ぐ仕組みが社内にきちんと組み込まれていれば、誰でも定められた仕事を担うことが可能になりますので、属人化はしません。
誰が、どのような仕事を、どこまでやっているかが、他の従業員からもわかりますので、諸々の事情で一部の従業員に負担が多くなった際には、他の従業員にシフトすることで業務負担の平準化も図ることが可能になります。
これらのことにより、有給休暇の取得についても、自由に従業員に取得させることができるようになります。夏休みなどで、休暇申請が多数重複する際には、ある程度のルール化・調整が必要となりますが、仕組みがあることでガラス張りにできます。
従来のように、「○○さんがいないと、業務が回らない・・・」とか、「○○さんに確認しないと、どこまで進んでいるのかわからない・・・」ということがないので、従業員の不満も最低限に抑えられるのではないでしょうか?
あなたの会社では、集客フローをはじめとした稼ぐ仕組みが組織に確立・定着されていますでしょうか?
もし、冒頭の小規模メーカーのような状況でしたら、すぐに集客などの稼ぐ仕組みづくりに注力してください!