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今週のコラム Z世代の離職率が高くなったら、これをチェックすべし!

「なんだか最近、若い世代の従業員の離職率が高くなってきていて、手を打たなければならないのですが、何かよいやり方がありませんでしょうか?」──とある製造業の社長からのご相談です。

いつの時代にも、「今の若い奴らは・・・(怒)」というフレーズは使われており、使い古されている感じはあるのですが、この社長さんも言葉の端々に「今の若い奴らは・・・(怒)」という感情が伺えます。

会社員の間でも、頻繁に交わされるフレーズですので、オーナー経営者からすれば、ある種諦めの境地とでもいいますか、達観されている社長さんが多いように感じていますが、人間ですのでどうしても口をついて出てきてしまうのは仕方ないのかも知れません・・・

【大手企業と中小企業の離職について】

私の個人的な経験をベースに思うところを述べさせていただくと、大手企業と中小企業では会社の規模が小さくなるほど新卒離職率が高くなっているだけでなく、「チェック4 中小企業だからこその従業員の不満」や「チェック5 採用活動のやり方」にあるように離職する理由が大きく違うように感じています。

そして、何よりも「水が合うか、合わないか(雇用側と採用者のミスマッチ)」が、新卒で採用された従業員が離職するか否かを分けると考えています。「水が合うか、合わないか」を理論的に、新卒従業員が自分を納得させるために、これから述べるような理屈をつけているだけではないでしょうか?・・・

個人的には、大手企業や中小企業という区分けなく、最高経営責任者である社長が、自分の言葉で「経営理念」、「事業理念」、「事業目的」、「事業方針」などについて語りかけ、それに共感する新卒予定者を採用するのが「水が合うか、合わないか(雇用側と採用者のミスマッチ)」を回避する一番の近道だと考えています。

厚生労働省が2022年10月28日に発表した、新規学卒就職者(2019年3月卒業)の離職状況では下記となっています。あなたの会社の新卒離職者と比較してどうかチェックしてみてください。

【チェック1 事業所規模別新卒離職率】

■ 新規学卒就職者の事業所規模別就職後3年以内離職率 ( )内は前年比増減

    事業所規模高校大学
5人未満60.5% (▲1.4P)55.9% (▲0.4P)
5~29人51.7% (▲1.1P)48.8% (▲0.6P)
30~99人43.4% (▲0.7P)39.4% (+0.3P)
  100~499人35.1% (▲0.8P)31.8% (±0.0P)
  500~999人30.1% (+0.1P)29.6% (+0.7P)
1,000人以上24.9% (▲0.7P)25.3% (+0.6P)

これによると、従業員5人未満の企業は60.5%、5~29人だと51.7%、30~99人では43.4%と高く、100~499人が35.1%、500~999人は30.1%、1,000人以上では24.9%と規模が大きいほど離職率は下がっています。

みなさんが経営されている会社の規模での離職率と比べていかがでしょうか?

同じくらいという方もいれば、もっと多いという方もいらっしゃると思います。もちろん企業規模だけでなく、どのような業務を営まれているかによっても新卒離職率は大きく異なりますので、下記もご参照の上でご判断ください。

【チェック2 業種別新卒離職率】

■ 新規学卒就職者の産業別就職後3年以内離職率のうち離職率の高い上位10産業
 ( )内は前年比増減 ※「その他」を除く

これによると、上位にランクインしているほとんどの業界が個人など一般消費者向けのBtoC(Business to Customer)企業となっています。

業種柄、企業向けのBtoB企業(Business to Business)に比べて、下記要因により離職率が高くなっています。

①残業や土日勤務が多い

個人など一般消費者を対象にしているため、時間が不規則になりがちです。

また、平日の業務時間だけでなく、土日もシフト制で勤務する場合が多いです。

→<改善策>まずは、ファストフード店のような業務に関するマニュアルを作成し、誰でも同じように業務をこなすことができるようにするとともに、属人的でない「自走する組織(従業員が自ら考え、対話し、行動する組織)」を社内に構築することで一部の従業員に仕事の皺寄せが起こらないようにしてゆきましょう。

②給与水準が低い

勤務時間が不規則なだけでなく、給与水準が低い場合が多いです。

→<改善策>社長であるあなたが、何がなんでも「儲かるビジネスモデル」に変えていくとともに、仕組みで組織をまわすようにしてゆきましょう。

③教育体制・福利厚生が整備されていない

離職率が高いために、少ない従業員で仕事をこなさなければならず、新入社員などを教育する余裕がない。また、福利厚生も整備されていない場合が多く、過酷な労働条件に加えて教育もできず、さらに離職率が高くなるという悪循環に陥っている場合が多いです。

→<改善策>人に仕事をつけるのではなく、仕事に人をつけられるように、マニュアル化や平準化をするとともに、競合他社比遜色のない福利厚生ができるように、何がなんでも「儲かるビジネスモデル」に変えていくとともに、仕組みで組織をまわすようにしてゆきましょう。

【チェック3 離職年別新卒離職率】

■ 新規学卒者就職率と就職後3年以内離職率推移

これによると、高校卒・大学卒ともに就職後1年以内の離職率が一番高く、2年以内、3年以内と減少していきます。

実際に、あなたが経営する会社で、Z世代の離職があった場合には、何年目の離職が多いのかを確認してください。おおむね、下記のような理由であることが多いです。

1年以内:「水が合うか、合わないか」雇用側と採用者のミスマッチがある

2年以内:人間関係や組織の軋轢などの問題がある

3年以内:自分自身の成長や会社の成長が実感できない

出典:厚生労働省HP 新規学卒就職者の離職状況(2019年3月卒業者)を公表します(2022年10月28日発表)

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00005.html

【チェック4 中小企業だからこその従業員の不満】

では、大手企業の従業員と比較して、我々のような中小企業の従業員がより不満に思うことはどのようなものがあるのか?を考えてみましょう。

(企業規模による不満)

①給与が少ない

中小企業は大手企業と比較して、給与水準が全体的に低い場合が多いです。

特に、下請体質の中小企業では、大手企業に「生かさず、殺さず」で搾り取られている場合がほとんどですので、そもそもの企業としての営業利益率が非常に低く、その中から従業員の給与を支払うので、大手企業と比較して給与が少なくなる傾向があります。
(大企業:477.6万円、中企業:408.2万円、小企業:348.0万円)

→ <改善策>社長であるあなたが、何がなんでも「儲かるビジネスモデル」に変えていくとともに、仕組みで組織をまわすようにしてゆきましょう。

出典:厚生労働省HP 令和3年賃金構造基本統計調査の概況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/dl/13.pdf

②過重労働

また、中小企業では、そもそもの従業員数が少ないだけでなく、大手企業に比べて業務を効率化する仕組みや仕事の平準化ができておらず、仕事ができる従業員に仕事がさらに集中する事態が日常茶飯事となっており、過重労働が当たり前になっています。

→<改善策>まずは、ファストフード店のような業務に関するマニュアルを作成し、誰でも同じように業務をこなすことができるようにしてゆきましょう。

③従業員が少なく人間関係が難しい

さらに、大手企業に比べて従業員が少ないことから、各従業員の結びつきが必然的に強くなり、良好な状態であれば非常に効率的に仕事が捗るのですが、一旦関係がギクシャクすると、代替えがきかないことから、人間関係が煮詰まってしまうことが多いのです。

→<改善策>属人的でない「自走する組織(従業員が自ら考え、対話し、行動する組織)」を社内に構築することで「儲かる商売の仕組みづくり」をしてゆきましょう。

④やりたい職務やジョブローテーションがなく成長を実感できない 

自分の頭の中でイメージを膨らませて入社するので、本人の希望するような職務やジョブローテーションがなく、成長を実感できずに今後の将来に失望してしまうものです。大手企業の場合、幅広い職務やジョブローテーションがあるので、配置転換などにより成長する機会を提供できますが、中小企業ではなかなかそのような対応はできません。

→<改善案>成長機会を提供(裁量のある仕事や多様な業務を任せる、資格取得補助、外部研修等)するだけではなく、グループ子会社を新設することやM&A買いなどで、職務やジョブローテーションの幅を広げてゆきましょう。­­

⑤会社の存続や成長が不安

大手企業と比べて、中小企業では会社の目指すべき方向や、社長の考え方が開示されておらず、従業員が会社の存続や成長に対する不安を抱えている場合が多いです。

→<解決案>最高経営責任者である社長が、自分の言葉で「経営理念」、「事業理念」、「事業目的」、「事業方針」などについて語りかけることで、従業員の不安を払拭してゆきましょう。

【チェック5 採用活動のやり方】

大手企業の場合、何万人もの学生を学歴などでスクリーニングし、その後は3~5回程度の従業員との面接で、入社後に自社でちゃんとやっていけるか、仕事や社風などとの相性を見てクリアした学生だけを、人事部・役員面接にかけて最終内定としています。

そこまでやっても、入社後にうまくいかない場合には、上司を代えたり、勤務する地域や配属先の部署変更など、いくらでも調整ができるので、辞めさせないで済むことが多いのです。

→<改善策>属人的でない「自走する組織(従業員が自ら考え、対話し、行動する組織)」を社内に構築するとともに、従業員に自分が希望する勤務地域や部署などを新設することが可能かどうかをシミュレーションさせてみて、採算が取れるようであれば子会社新設やM&A買いなどで任せてみましょう。

【まとめ】

以上、チェックポイントとして、5つ例示しましたが、あなたの会社の場合どうでしょうか?

改善策として、ご説明している内容は一般的な対応をお示ししていますので、あなたの会社に合った改善策を是非トライしてみてください。

これまでみてきたように、「儲かるビジネスモデル」に変えながら、「自走する組織」を構築することで「儲かる商売の仕組みづくり」ができるようになれば、若い世代の従業員の離職率問題は解決するのです。

なお、改善策がわからない・イメージが湧かないということであれば、いつでもご相談いただければ幸いです。

あなたは、「水が合うか、合わないか」という、雇用側と採用者のミスマッチが起こらないようにする努力をしていますか?

最高経営責任者であるあなたが、自分の言葉で「経営理念」、「事業理念」、「事業目的」、「事業方針」などについて語りかけ、それに共感する新卒予定者を採用することで、「水が合うか、合わないか」という雇用側と採用者のミスマッチを回避していますか?