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今週のコラム 経営者が銀行員を味方にする秘訣

「銀行が仲人になってくれるよう依頼するのが営業紹介、だそうですが、どうしても銀行の敷居が高くて、、、
どうしたら敷居が低くなりますか?」──コラムをご覧になられた方からのご質問です。

 ご質問くださった方は、とある会社の経営者の方で、銀行に行くのは資金調達を申し込みするときだけ。そのほかでは一切銀行には行かない、とのこと。もちろん、毎期、決算書が出来上がったら銀行に行って、経営者が自ら説明した方がいいことは理解しているけれど、どうしても銀行の雰囲気に馴染めず足が遠のいてしまうのだと。

 私が銀行員時代には、銀行との関係性を良くしていただくために「社長、決算書ができたときくらい銀行に顔出してくださいよ(笑)」と、担当させていただいている経営者の方にいつもお願いしていました。

 このようなお願いをすると、かなりの高確率で次回の決算書を銀行にお持ちいただけるのですが、一方でいくらお願いしてもご来店いただけない経営者の方もいらっしゃいました。
また、はじめのうちは決算書を銀行にお持ちいただけるのですが、減収減益か赤字決算になるとぱったりとご来店されなくなる方もいらっしゃいました。

 ご質問をいただいた経営者の方にもご説明したのですが、「経営者が銀行を味方にするには、関係性をよくする」のが一番の近道です。これは「恋愛」をイメージしていただければわかりやすいのではないか、と思います。

 銀行と恋愛、というと「え??」と思われるかもしれませんが、好みの異性と素敵な恋愛をしようと思うならどうするのか? ということと同じことを銀行にすればいい、ということなのです。

以下、わかりやすいように、一般的な恋愛と銀行との恋愛のステップについて、比較してみました。

①相手を選ぶ
 →つきあう銀行と銀行員を選ぶ

②自分を磨く
 →あなたの会社についての特徴・特技などをまとめる

③コミュニケーションをとってアピールする
 →銀行にアプローチする

④付き合いはじめる
 →四半期報告や決算書のやりとりをする

⑤心身ともに親密度をあげる 
 → コミュニケーションを密にする

⑥プロポーズする
 →融資、営業紹介=ビジネスマッチングなどを依頼する

⑦結婚する
 → 融資の実行、営業紹介=ビジネスマッチングなどで成約する

⑧子どもに恵まれる
 → 融資を活用して、営業紹介=ビジネスマッチングなどから、売上があがる

⑨子どもが巣立つ
 → 融資の申し入れをする前に銀行から融資の打診があったり、営業紹介=ビジネスマッチングでの銀行からの紹介案件が通常取引になる

⑩老後を迎える
 →経営者としての世代交代を準備する

⑪人生を全うする
 →経営者としての地位を次世代に譲る

 ご質問いただいた方の場合は、①②は完了していたのですが、そこからいきなり⑥をしていらっしゃいました。
そのため「融資を依頼しても、会社の状況の説明や資金繰りの説明を求められて、そのための資料を出してから、やっと審査してもらうので非常に時間がかかる(怒)」という状況だったのです。

 一般的な恋愛なら、少し話をして盛り上がったくらいで、いきなりプロポーズはしないですよね。もちろん、奇跡的な出会いがあり、よほど相性がよければ話は別ですが、、、(笑)

 上記の話を一通りお伺いした後で、銀行の対応の理由について一般の恋愛と対比したご説明をさせていただいたところ「確かにそうですね。話が盛り上がっていたのを勘違いして、いきなりプロポーズしていたのなら、そりゃぁ相手も戸惑いますよね。時間がかかるはずですよね。」とご理解いただけました。

 今回ご相談いただいた経営者の方と同じく、多くの経営者の方は③から⑤のステップを飛び越えた対応をされているのが現状ではないでしょうか?

 経営者が銀行を味方にするためには、「恋愛」をイメージして関係性をよくしていきましょう。急がば回れ、でこれが一番の近道です。

まず最初、①の相手を選ぶ、は、現時点の取引銀行の中からメインバンクにしたい銀行を選んでいだたき、担当の銀行員の合う・合わないを見極めていただければ問題ありません。

 担当の銀行員が合わない場合、その上司に担当者交代を申し入れてください。恋愛と同じですので、担当していた銀行員の立場を考える必要はありません。担当の銀行員も、担当を変えてもらえてホッとしているはずです。

次に、②自分を磨くです。一般的な恋愛であれば、外見や内面を磨くことだけにとどまらず、年収を上げるための転職や生活スキルを上げるための各種教室に通うなど、経済力や生活力の向上なども含まれます。

 一方で銀行との恋愛を考えた場合は、あなたが経営する会社の特徴・特技などをまとめるとともに、顧客にとって競合他社と比較してどのような点がメリット・デメリットになるのかを整理し、更なる高みを目指して企業努力することが自分磨きとなります。

③コミュニケーションをとってアピールする 
 一般的な恋愛であれば、好意を持っている異性に対して、自分からコミュニケーションをとり、自分と付き合うと得られるメリットなどをアピールします。

 銀行との恋愛の場合には、いかにあなたが経営する会社の商品・サービスが優れていて世のため人のために役に立つか、そして会社経営がいかに健全に行われているかをアピールすることになります。

④付き合いはじめる
 一般的な恋愛であれば、必死のアピールが功を奏して、いよいよお付き合いがはじまります。彼氏・彼女として、もっと相手のことを理解するために、楽しいデートを重ねていきます。

 銀行との恋愛の場合、もっとあなたの会社のことを理解してもらうために、経営計画書の開示や四半期報告・決算書等のやりとりをしていきます。

⑤心身ともに親密度をあげる 
 一般的な恋愛であれば、心身ともに触れ合う機会や親密度をあげて、お互いの人間関係も含めて共有していく幸せな時期に入ります。

 銀行との恋愛の場合、あなたの会社の経営計画を銀行と共有でき、足元の業績だけでなく、今後の課題や目標までも銀行が理解し、経営計画に影響を及ぼす事態がおこれば、いつでも銀行に相談できる状況になっています。

 ここまできて、やっと、一般の恋愛では⑥プロポーズするところにたどり着くのです。

 銀行との恋愛の場合は、ここまできてやっと融資、営業紹介(=ビジネスマッチング)などを依頼できるようになるのです。このように、恋愛と同じような手順を踏んでいただくことで、銀行と「一心同体」と言っても過言ではない関係になれるのです。

 ここ数年で、銀行はコンサルティング業務にも注力してきていますので、経営者として腕試しをする意味でも、銀行と素敵な恋愛をしてみませんか?

 現在は、コロナ禍で会社経営の舵取は暗中模索の状況と言えますし、さらに、コロナ禍が終息した後でも、違った形の困難は出てくるものです。その時に、銀行と恋愛関係にあり、何でも相談できる関係になっていればどんな困難でもくぐり抜けていけるはずです。

 経営者としてもう一段高いステージに立つためにも、銀行と素敵な恋愛関係をつくって、銀行を活用できる仕組みづくりを一緒にしませんか?

「売り手よし」、「買い手よし」、「世間よし」という、「三方よし」の経営を是非とも一緒に実現させましょう!