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今週のコラム 銀行がリスケを拒否する“決定的な理由”とは

「いや~、取引銀行にリスケ(返済条件変更)を相談したんですが、思っていたような反応じゃなくて…。『今回は難しい』ってあっさり断られてしまったんです。これまでの付き合いもあるし、話せば何とかなると思っていたんですが、銀行ってそんなに冷たいんですか?」
──これは、当社の個別相談にお越しになった建設業の経営者の切実な声です。

確かに、資金繰りが厳しくなったとき、銀行にリスケを申し入れる経営者は少なくありません。
「苦しいときは銀行が何とかしてくれる」
「これまでの取引実績があるから、話せば応じてくれる」
そう考えている方も多いのではないでしょうか。

ですが、銀行の考えは、経営者が思っている以上にシビアです。
リスケは“頼めば通る”ものではなく、銀行側には明確な判断基準があるのです。

では、銀行がリスケを拒否するのは、どんなときなのでしょうか?
本コラムでは、銀行の本音に迫りつつ、経営者が事前に知っておくべき“リスケ拒否”の理由を紐解いていきます。

はじめに

銀行にとって「リスケ(返済条件変更)」は、単なる支払い猶予のお願いとは違います。
それは、銀行がその会社の将来に見切りをつけるか否かを判断する局面に他なりません。

もちろん、業績不振や資金繰り悪化など、経営が厳しくなれば、銀行にリスケを申し入れること自体は珍しくありません。
しかし、銀行は「申し出があったから」といって、簡単にリスケを認めることはありません。
なぜなら、リスケは銀行にとって「取引継続か、撤退か」を見極める重要な判断材料だからです。

銀行は、社長の態度、資金繰り状況、事業の将来性、改善計画の中身──すべてを総合的に見たうえで、
「この会社と、まだ付き合うべきか?」を冷静に判断します。
そこには、情や付き合いといったものは一切入りません。

つまり、銀行がリスケを拒否するのには“明確な理由”があるのです。
「苦しいから」「今だけ何とかしたいから」と安易に考えて動くと、
その一度の交渉で銀行から完全に見切られてしまう危険すらあります。

このコラムでは、銀行がリスケを拒否するとき、
裏で何を考え、どんな基準で判断しているのか──
経営者として知っておくべき本音に迫ります。

事前に知っていれば、まだ手は打てる。
その一歩を踏み出すヒントとして、ぜひ最後までお読みください。

1. 「返せない」と判断されたとき、リスケは拒否される

経営が苦しくなったとき、多くの経営者が真っ先に思い浮かべるのが「銀行へのリスケ交渉」ではないでしょうか。
確かに、資金繰りが厳しくなれば、返済条件の変更を申し入れるのは選択肢の一つです。
しかし、銀行は必ずしもその申し出を受け入れるわけではありません。
銀行がリスケを拒否するとき、そこには“明確な理由”があるのです。

その中でも最大の理由が、「この会社は、いずれ返せなくなる」と判断したときです。
銀行にとって融資は“回収できてはじめて成立する取引”です。
回収できないと見れば、リスケに応じる意味はなく、むしろリスクの拡大とみなされてしまいます。

では、銀行は何を見て「返せない」と判断するのでしょうか?
その見極めポイントを掘り下げていきます。

1.1. 数字が物語る“将来返済不可能”の兆候

銀行が最も重視するのは、当然ながら“数字”です。
その会社の決算書、試算表、資金繰り表──
銀行員はそこから、会社の本当の状況を読み解いています。

特に注視されるのは、以下のような項目です。
・営業利益が継続的に赤字
・売上が減少傾向にある
・借入金依存度が高い
・資金繰りがすでに逼迫している
これらが揃った状態でリスケを申し出た場合、銀行は「もう無理だ」と見切ります。

たとえば、営業利益が赤字続きの会社が、
「売上が上がれば何とかなる」と説明しても、銀行は納得しません。
「過去の数字」が「将来を語っている」と見なすからです。

銀行は過去の決算数字から、将来の資金繰り、返済能力を冷静に計算します。
そこに楽観的な見通しが入り込む余地はありません。

経営者がどれだけ前向きな説明をしても、
数字が悪ければ、銀行は「返せない」と判断する──
これが、リスケ交渉の厳しい現実です。

1.2. 銀行が恐れる「ズルズル先送り」のリスク

銀行は、融資が回収できなくなるリスクを常に恐れています。
特に、リスケを何度も繰り返すことで“ズルズルと”取引が継続してしまう状況を、
銀行は最大のリスクと見なしています。

一度リスケに応じると、次も、また次も──と延々と先送りされる可能性がある。
その結果、債権者としての判断がますます遅れ、
最終的に「回収不能」という最悪の結果につながることを、銀行は何よりも恐れているのです。

このため、銀行はリスケの申し出があった際、次のように考えます。
・このリスケは、単なる時間稼ぎではないか?
・先送りしたところで、本当に改善するのか?
・「一度認めたら、もう断れなくなる」のではないか?
そして、「ズルズル型」と見なされた場合、
銀行は“最初からリスケ拒否”の判断を下します。

一度応じてしまえば、銀行の立場は弱くなる。
だからこそ、慎重に慎重を重ね、リスケを認めるかどうかを決めているのです。

結果、銀行のスタンスはこうなります。
「回収の見込みが薄いなら、今ここで見切ろう」
その覚悟でリスケ交渉に臨んでいるのが、銀行の本音です。

1.3. “延命治療”と見切られた瞬間、銀行は動かない

リスケ交渉において、銀行が最も嫌うのは
「これは延命治療だな」と判断する瞬間です。

延命治療──つまり、どうせ回復しないと分かっていながら、
単に時間を稼ぐためだけのリスケと見なされたら、
銀行は絶対に動きません。

なぜなら、延命治療型のリスケに応じても、
・借入金は減らない
・事業は立て直らない
・返済は再開できない
──結局、双方にとって意味がないからです。

銀行は、次のようなリスケ申し出に対して、即座に警戒心を強めます。
・改善計画に具体性がない
・実行可能性が低い
・社長が責任逃れをしている
そして、
「これは単なる時間稼ぎだな」と見切った瞬間、
リスケ交渉はそこで終わります。

銀行が望んでいるのは、
リスケを機に再生する意思と行動であり、
その見込みがない会社に、融資も支援もする理由はないのです。

まとめ

リスケは、単なる“返済猶予”ではありません。
銀行が重視しているのは、「この会社は再生できるかどうか」という視点です。

そのため、
・数字が悪化しきっている
・見通しが甘い
・延命にしか見えない
このいずれかに該当すれば、
銀行はリスケを拒否します。

大切なのは、リスケ交渉の前に、
「自分の会社は本当に返済できる見込みがあるのか?」
「銀行にそう判断してもらえる準備が整っているのか?」
自問自答し、冷静に現状を見つめ直すことです。

それができていなければ、リスケどころか、
銀行との関係すら断たれる危険がある──
これが、銀行の“本音”であることを、忘れないでください。

リスケに関するお悩みに結コンサルティングの専門家がお応えします!お気軽にご相談ください。

2. 「この社長には任せられない」と見切られたとき

銀行がリスケ交渉に応じるかどうかを判断する際、
単に会社の数字だけを見ているわけではありません。
むしろ、「この社長は本気で会社を立て直すつもりがあるのか?」
これを厳しく見極めています。

なぜなら、たとえ資金繰りが厳しくても、
「この社長なら、「覚悟」と「胆力」があるので、まだ何とかなる」と感じれば、
銀行はリスケに応じる余地を残します。

逆に、数字がまだ何とかなる状況であっても、
「この社長には任せられない」と見切られた瞬間、銀行は一気に態度を硬化させるのです。

その評価は、たった一言、たった一つの態度で決まってしまうこともあります。
では、銀行はどこを見て“見切り”を決めているのか。
ここでは、3つの視点から銀行の本音を紐解きます。

2.1. 言い訳・責任転嫁で信用を失う

リスケ交渉の場で、銀行がまず注目するのは、
社長の言葉の端々に見える“責任感”です。

よくあるのが、
「コロナのせいで」
「原材料費が上がったから」
「社員が言うことを聞かないから」
こうした言い訳や責任転嫁。

たしかに、外部環境の影響や人材の問題は経営にとって大きな要素です。
しかし、銀行が聞きたいのはそこではありません。

銀行が求めているのは、
「その上で、社長はどう行動したのか?」
「これからどうやって打開しようとしているのか?」
その“覚悟”と“具体策”です。

言い訳ばかりで、自らの責任を認めようとしない社長には、銀行は絶対に味方しない

むしろ、
「この人には会社の立て直しは無理だ」
そう判断し、リスケ拒否の決断に向かうのです。

2.2. “覚悟”が伝わらない社長には未来がない

リスケとは、単なる返済条件の変更ではありません。
それは、会社をもう一度立て直すための最後のチャンスです。

このとき、銀行が最も注目するのが、
社長の“覚悟”が本物かどうかです。

たとえば、
・リスケ交渉に、ろくに資料も準備せずに臨む
・「どうせ今回も何とかなるだろう」と軽く考えている
・「銀行が助けてくれるはず」と他力本願
こんな姿勢が少しでも見えた瞬間、
銀行は「この社長には未来がない」と見切ります。

リスケ交渉とは、社長が“経営者としての覚悟”を問われる場です。

社長が本気で立て直す気があるなら、
・資金繰り表
・改善計画書
・実行計画
これらをきちんと準備し、
銀行と真正面から向き合う姿勢を見せるべきなのです。

銀行は、その本気度を鋭く見抜いています。

逆に言えば、
社長の“腹のくくり方”次第で、銀行の判断は大きく変わるのです。

2.3. 目先の言葉ではなく“行動”で判断されている

銀行員は、言葉には騙されません。
むしろ、経営者の“行動”を冷静に観察しています。

よくあるのが、
・リスケを頼むときだけ熱心になる
・資料を出すと約束したのに守らない
・改善計画を立てただけで満足し、実行しない
こうした行動を見た瞬間、
銀行は「この社長には信用できない」と即断します

銀行が重視しているのは、
「この社長は、言ったことをちゃんと実行する人か?」
それだけです。

言葉では「頑張ります」と言っても、
行動が伴っていなければ、何の意味もありません。

むしろ、口先だけの約束は、
「この人は口だけの人間だ」
と銀行の印象を悪くするだけです。

銀行は、
・小さな約束を守るか
・指摘されたことにすぐ対応するか
・書類提出を期日通りにするか
こうした日常の行動を細かく見ています。

そして、
一度「この社長はダメだ」と判断されれば、信頼回復は極めて難しくなるのです。

まとめ

リスケ交渉の成否は、単に数字だけで決まるものではありません。
むしろ、「社長の姿勢」こそが決定打になります。
・責任から逃げない
・本気で覚悟を持つ
・言葉だけでなく、行動で示す
これができない社長は、
たとえ財務内容が改善しても、銀行からの信頼を得ることはできません

リスケを通して、銀行は“社長の本性”を見ています。
経営者自身がどれだけ本気か、どこまでやりきるつもりがあるのか。

その答えが行動に表れたとき、はじめて銀行は応援する気持ちになります。

リスケを単なるお願い事と考えるのではなく、
経営者としての“覚悟”を見せる場だと考えて、臨んでほしい──
それが、銀行の本音であり、
中小企業経営者に求められていることなのです。

3. 「改善計画」が信用されなかったとき

銀行がリスケ交渉を受けるか否かを判断する上で、欠かせない要素があります。
それが「経営改善計画」です。

リスケとは、単なる返済条件変更の交渉ではありません。
本来は、会社を立て直し、再び健全経営に戻すための“再出発”の場です。

そのため、銀行は「改善計画」の中身を徹底的にチェックします。
単なる願望やその場しのぎの計画では、絶対に認めません。

そして、
改善計画が“信用できない”と判断された瞬間、銀行はリスケを拒否するのです。

では、銀行が「この計画はダメだ」と見切るのは、どんなときなのか──
ここでは3つの観点から掘り下げます。

3.1. 数字根拠がない“絵に描いた餅”計画は即アウト

経営改善計画において、銀行が最も重視しているのは数字の根拠です。

たとえば、
・来期は売上10%アップを目指します
・経費削減で利益率を改善します
・資金繰りを改善し、返済に充てます
このような表現は、社長にとっては前向きな宣言のつもりでも、
銀行には「何の根拠もない空論」にしか見えません。

銀行が求めているのは、次のような根拠です。
・売上アップは、どの商品・どの取引先で実現するのか
・経費削減は、どの費目を、どの程度削減できるのか
・改善によって、どの月にどれだけキャッシュが残るのか
「なぜ、どうやって、その数字になるのか?」が明確に説明できなければ、改善計画は信用されないのです。

銀行員は、数字と現実が結びついていない計画を見抜くプロです。
少しでも曖昧さを感じれば、その場で「これはダメだな」と心の中で判断を下します。

改善計画を作る際には、
売上計画、利益計画、資金繰り計画、返済計画の全てに数字の裏付けが求められることを、忘れてはなりません。

3.2. 実行力のない改善案は“口約束”にしか見えない

どれだけ立派な改善計画を作っても、
「この社長に実行できるのか?」
この視点で見たとき、疑問符がつけば銀行は絶対に納得しません。

銀行が警戒するのは、
・机上の空論だけで終わる計画
・書類だけ整えた“やったふり”の改善案
・具体的行動が何も見えない計画書
これでは、銀行から「どうせ口だけ」と見なされ、リスケは即拒否されます。

銀行は、次のような点を鋭くチェックしています。
・すでに社内で動き出している施策はあるのか
・計画を支える現場の仕組みは整っているのか
・社長自身が先頭に立って実行しているか
つまり、
「これからやります」ではなく、「すでにやっています」
この実行力の有無が決定的に重要になるのです。

口先だけの計画では、銀行は絶対に首を縦に振りません。
行動の裏付けがあってこそ、計画も信用に値する

この視点を外せば、いくら立派な計画書を作っても、
「絵に描いた餅」で終わってしまう
──それが銀行の厳しい現実です。

3.3. 経営改善計画の“本気度”はここで見られている

銀行が最終的に見ているのは、改善計画そのものではなく、
「その計画に社長の本気が込められているか」です。

・雑な資料をそのまま提出する
・数字が合っていない
・資料説明が他人任せ
こうした態度が見えた瞬間、銀行は
「本気でやる気がないな」と即断します。

一方で、たとえ完璧な計画でなくても、
・必死に考えた跡が見える
・自分の言葉で説明できる
・改善に向けてすでに行動している
このような姿勢を見せれば、
銀行は「この社長なら…」と感じ、リスケ交渉のテーブルにつく可能性が高まります。

つまり、銀行は
計画の中身+社長の本気度
この両輪が揃っているかを見ているのです。

どれだけ立派な計画も、社長の覚悟が伴わなければ無意味
──これが銀行の本音です。

まとめ

リスケにおいて、経営改善計画は“通過儀礼”ではありません。
それは、社長が本気で会社を立て直す意思を示すための最重要ツールです。

・数字に裏付けられた根拠があるか
・実行力が伴っているか
・社長の本気が計画に表れているか
この3つが揃ってはじめて、銀行はリスケに応じるスタートラインに立つことができます。

改善計画とは、社長の覚悟と行動の証明書
──それが銀行の見方です。

「とりあえず作ればいい」「体裁だけ整えればいい」では、
銀行の信頼は絶対に得られません。

リスケ交渉を成功させたいなら、
本気で考え、本気で動き、本気で計画を作る
この姿勢が求められているのです。

そして、その“本気”こそが、銀行との信頼関係を築く第一歩になることを、
忘れないでください。

4. 銀行は“他行の動き”を見て態度を決めている

リスケ交渉を進めるうえで、
多くの経営者が見落としがちなのが、“銀行同士の関係性”です。

「うちは○○銀行と付き合いが深いから、話せばわかってくれるはずだ」
「この銀行とは長年の関係があるから、きっと大丈夫だろう」

そんな風に考えて、単独でリスケを申し込む──
しかし、思ったほど銀行が乗ってこない。
むしろ、なぜか様子を見ているような反応をされる。

その裏には、銀行ならではの“横のつながり”があるのです。

銀行は、独自の判断だけで動いているわけではありません。
実は、リスケを認める・認めないの判断には、
“他行の動き”が大きく影響しているのです。

では、なぜ銀行はそこまで他行の動きを気にするのか──
その理由をひも解いていきます。

4.1. リスケは“銀行間の空気”で決まる

銀行は、他の銀行と同じ融資先に貸し出しを行っていることが多く、
そのため、融資先がリスケを申し出た場合、
「他行がどう対応するか」を必ず気にします。

この時、銀行に働くのが、
“銀行間の空気”です。

・他行がリスケに応じたなら、うちも認めざるを得ない
・他行が拒否したなら、うちも断るべきではないか
・他行が様子見なら、うちも判断を保留しよう
このように、銀行は互いの動向を探りながら、
「自分たちだけがリスクを取らない」という前提で判断します。

銀行は、周囲と足並みを揃えることを最優先にする──
だからこそ、他行の動きがリスケ判断に大きく影響するのです。

経営者が「うちとは付き合いがあるから…」と考えても、
銀行はその空気を読んで動いていることを、決して忘れてはいけません。

4.2. 他行が拒否なら“うちだけOK”はまずない

リスケ交渉で多くの社長が直面する現実。
それが、「あの銀行はリスケを断ったけれど、こっちは大丈夫だろう」という希望が通らないことです。

銀行は、“自分の銀行だけが支援する”という立場を極端に嫌う傾向があります。

その理由は明確です。
・自分の銀行だけが支援すると、貸出金の回収リスクが高まる
・他行が引く中、自行だけが支援することは合理的ではない
・後から「なぜあの時、うちだけが認めたのか」と責任問題になる
このため、他行がリスケを拒否した場合、
うちだけがリスケを認めることはあり得ない──
これが銀行の判断基準となります。

どれだけ付き合いが深かろうと、
どれだけ社長が頭を下げようと、
他行が拒否した時点で“うちも拒否”という流れになるのです。

経営者としては、
「せめて一行だけでも」
「メインバンクだから何とか」

そんな思いがあるでしょう。
しかし、銀行の本音は
「一行だけが応じるくらいなら、全行で拒否した方がリスクが少ない」
──これが動かぬ事実です。

4.3. 銀行は“情報ネットワーク”で常に動向を把握している

銀行は、融資先の情報を独自に集めています。
それは決して、融資先が自ら話した内容だけではありません。

・同業他社からの噂
・他行の融資担当者との情報交換
・信用情報機関からの共有データ
こうしたネットワークを通じて、
銀行はリアルタイムで融資先の動向を把握しているのです。

「あの会社、他行にリスケ申し込んだらしい」
この情報が回った瞬間、他の銀行も一斉に警戒態勢に入ります。

結果、リスケ交渉はまだ始まっていないのに、
銀行が態度を硬化させる、
融資条件が厳しくなる、
追加融資が止まる──

こうしたことが、
現実として起きるのです。

銀行は融資先を「特別扱い」していません。
常に冷静に、ネットワークの情報を基に判断しています。

「他行には言っていないから大丈夫」
「メインバンクだけに話せばいい」

そう思っていたとしても、
情報はあっという間に回る──
これが、銀行取引の世界です。

だからこそ、
リスケは“銀行間の情報網”も踏まえて戦略的に動くべき
この意識が必要なのです。

まとめ

リスケ交渉は、単に“この銀行だけ”に通じるものではありません。
そこには、銀行同士の微妙な関係性が深く絡んでいます。

・銀行は“他行の動き”を見て態度を決めている
・他行が拒否すれば、自行も断るのが常識
・銀行は独自の情報ネットワークで常に状況を把握している
だからこそ、リスケは単なる「お願い」ではなく、戦略的に全体を見据えた行動が必要なのです。

「とりあえず話してみる」では、
かえって銀行同士に警戒されるだけ。

リスケを本気で考えるなら、
どの銀行とどう向き合うか、事前の準備と戦略が不可欠です。

それを怠れば、
リスケどころか、すべての銀行に見放される──
そんな事態になりかねないことを、
ぜひ知っておいてください。

【ご参考コラム】銀行からのリスケ拒否!その時、経営者のあなたにできること

5. “手遅れ”と判断されたとき、銀行は見切りをつける

リスケ交渉の場で、銀行が最も慎重に判断する局面があります。
それは「この会社は、もう助けても意味がない」と見切る瞬間です。

どれだけ熱意を込めてリスケを頼んでも、
どれだけ付き合いが長かろうと、
銀行が「手遅れだ」と判断したら、交渉はその場で終了します。

銀行は、融資先の現状だけでなく、
「この会社に立ち直る力が残っているのか」を見ています。

ここで間違ってはならないのは、
銀行は「今、厳しいかどうか」ではなく、
「まだ回復できる可能性があるかどうか」を冷静に見ているということです。

では、銀行が「手遅れ」と見切るのは、どんなときなのでしょうか──
3つの視点から整理していきます。

5.1. 資金繰りが破綻寸前では誰も手を差し伸べない

銀行がリスケ交渉を受ける前提は、
「このリスケで資金繰りが立て直せるか」です。

ところが、
・資金繰りが完全に破綻寸前
・明日の支払いすらできない
・従業員の給与も危うい
このような状態でリスケを申し込んでも、
銀行は「もう手遅れだ」と判断します。

なぜなら、
・すぐに資金ショートする会社は、リスケしても意味がない
・追加融資しても回収できない
・経営改善する余地が残っていない
これらが理由です。

銀行にとってリスケとは、
「時間を与えることで、会社が持ち直す見込みがある場合にだけ意味がある」のです。

資金繰りが完全に破綻している会社に対しては、
どの銀行も“見切り”をつけるのが現実です。

「土壇場でも何とかしてくれるだろう」
そう思って交渉に臨むのは、
経営者側の大きな誤解と言えるでしょう。

5.2. リスケは“ギリギリ前”に動けるかどうか

リスケを成功させるかどうかは、
タイミングにかかっていると言っても過言ではありません。

リスケが成功しやすいのは、
・資金繰りに余力がまだある段階
・支払いがギリギリになる“少し前”
・銀行が「まだ間に合う」と思えるとき
この絶妙なタイミングで動くことができるかどうかが、
リスケ成功の分かれ目となります。

しかし、多くの社長はこう考えてしまいがちです。

・まだ何とかなる
・来月まで様子を見よう
・今お願いしたら、弱みを見せることになる
その結果、
本当に資金が尽きた土壇場でリスケを申し込む──

これでは、銀行はまず動きません。

銀行が求めているのは、
「まだ大丈夫なうちに、次の手を打つ社長」です。

なぜなら、
・余力があるうちに相談すれば、選択肢が広がる
・手遅れになれば、打てる手は限られる
・銀行としても、付き合うメリットがある
このため、銀行は「タイミング」を重視しています。

リスケは“ギリギリ前”に動けるかどうか──そこに経営者の判断力が問われるのです。

5.3. 銀行が求めるのは“自力再生”の兆し

リスケは、あくまで「再生に向けた第一歩」です。
銀行がリスケを認めるのは、
「この会社なら、立て直せるかもしれない」と感じたときだけです。

そのため、銀行が何よりも重視しているのが、
“自力再生”の兆しです。

たとえば、
・売上改善に向けた新たな取組みが始まっている
・不採算事業の整理を進めている
・コスト削減や固定費見直しに着手している
こうした具体的なアクションが見えるかどうかが、
銀行がリスケを判断する最大のポイントです。

逆に言えば、
・口先だけの改善計画
・他力本願の姿勢
・何も手を打たず、銀行頼み
これでは、銀行は「見込みなし」と即断します。

銀行は、
自分で考え、自分で動き、自分で会社を立て直そうとする社長
にしか、手を差し伸べることはありません。

なぜなら、
・リスケは「時間の猶予」でしかない
・最終的には社長が立て直すしかない
・本気で動かない会社に、未来はない
これが、銀行の揺るがぬ判断基準なのです。

まとめ

リスケ交渉で最大の敵となるのは、
“手遅れ”という現実です。

・資金繰りが破綻寸前になってからでは遅い
・ギリギリのタイミングを逃せば、誰も手を貸さない
・銀行が求めているのは、自力で立ち直る兆し
銀行は、最後まで責任を持ってくれる存在ではありません。

リスケは“何とかしてもらう”ものではなく、
“本気で立て直すための猶予を得るため”に動くものです。

そのためには、
・まだ余力があるうちに
・自ら改善に動き出し
・銀行に「この社長なら」と思わせる
この姿勢が求められます。

「手遅れ」になってからでは、すべてが終わる。
これが、リスケ交渉における最も厳しい現実なのです。

まとめ

銀行がリスケを拒否する理由は、単なる気分や印象ではありません。
そこには、銀行独自の冷静な判断基準と、長年の経験からくる厳しい目があります。

「返せない」と見切られれば、どれだけ交渉してもリスケは認められません。
数字に裏付けされた財務状況、社長の姿勢、そして改善計画の内容──
これらすべてを見たうえで、銀行は静かに「付き合うか、見切るか」を決めているのです。

さらに、銀行は決して単独で判断せず、
他行の動きや情報を総合的に把握し、慎重に態度を決めています。
「うちだけは何とかしてくれるだろう」と思うのは、大きな誤りです。

そして何より、
“手遅れ”と判断された瞬間、銀行は迷うことなく見切りをつけます。

だからこそ、リスケ交渉において本当に重要なのは、
・経営者が責任から逃げずに向き合うこと
・本気で改善に取り組む姿勢を見せること
・余力があるうちに早めに動くこと
この3つを徹底することが、リスケ交渉を成功させる唯一の道です。

リスケは“お願い”ではなく、“経営再建の意思表明”。
この本質を理解し、社長自身が覚悟を持って行動すること。
それが、銀行に認められ、未来を切り拓くための最初の一歩となるのです。

あなたは最高経営責任者として、どのような覚悟と胆力をもって、難局を切り拓いていかれるおつもりでしょうか?