ビジョン実現コンサルティング

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今週のコラム こんな時代こそ経営者の仕事を全うすべし!!!

「今後の業績について全く予測できなくなっており、どのように経営していけばよいのか暗中模索の状態になっています。このままの状態が続くと、どんどん資金が減っていく一方です。混乱していて頭の整理ができていませんので、何から手をつけていけばいいのかがわからなくなってしまいました。どのようにしたらいいのか、一緒に考えていただけませんでしょうか?」──とある電子機器製造業の経営者の方からのご相談です。

何事も迷った時には基本に立ち返るのが鉄則です。

怪我をして出血して血が止まらないのであれば、先ず止血しなければなりません。
業績が低迷したために、現金が流出している赤字状態であれば、先ず黒字にしなければならないのです。

また、止血まで時間がかかるのであれば、当然ながら輸血をして生命を維持しなければなりません。
黒字化するまで時間がかかるのであれば、当然ながら現金を投入して会社を維持しなければならないのです。

怪我をした時の対応に例えると、ご理解いただけると思いますが、問題はどのようにして止血(=黒字化)や輸血(=現金を投入)をするかなのです。

私からは、「先ず止血(必要であれば輸血も)をしてから、経営者として事業の取捨選択をしてください。」「事業の取捨選択などをする際には、是非とも顧客の生の声を聞いてから経営者として判断してください。」とお伝えしました。

これまで特に経営判断を伴うような事業の選別や資金繰り、そして人材の最適化などを行う必要がなかった経営者の方には、非常に重く・躊躇する問題だと思います。元銀行員としての経験でも、先送りしてしまっている経営者の方が多いことは理解しております。

一方で、バブル崩壊後の景気低迷やリーマンショックなどによる大怪我で、大量に出血し、経営判断により大胆に事業の選別・再構築(=リストラクチャリング)、資金繰り改善のために回収期間の短縮や支払期間の延長、そして人材の最適化などによる効率化を行ってきた経営者の方にとっては当たり前のことです。

「事業の選別・再構築」、「資金繰り改善を含む資金配分」、そして「人材の最適化」という3つの項目については、経営の根幹であり、経営者として常に対応し続けていかなければならないものです。

1.事業の選別・再構築(=リストラクチャリング)

あなたが経営する会社の商品・サービスが、社会にとってどのようなメリットをもたらすのか。

何のための事業なのか、誰のための事業なのかについて、経営者のあなたが自分の考えを明らかにし、何をやり、何をやらないのか決めることです。

2.資金繰り改善を含む資金配分

経営者なのだから「資金配分」だけで十分では?という声も聞こえてきそうですが、、、
せっかく経営者として資金配分するのですから、どうすれば資金繰り改善につながるかを考えた上で、資金配分を行なっていただければと思います。

ちなみに、資金配分とは、商品やサービスの開発費、設備投資、マーケティング費用、人材の採用・育成など、何にいくら使うかを決めることです。経営者として、どうすれば資金繰り改善につなげられるか、最も効果的な費用の使い方を決めることです。

3.人材の最適化

従業員一人ひとりの強みを最大限に生かすために、活躍・成果が期待できる分野で活躍してもらうよう、どの従業員をどの部署に何人配置するかを決めることです。
当然ですが、人事評価なども含まれます。

これら3項目を徹底的にすることが、経営者の仕事といって過言ではありません。
それ以外のことは、経営者ではなく管理者の仕事ですので、もし経営者であるあなたが管理者の仕事をされているのであれば、きちんと権限を渡した上で任せましょう。


「うちの会社は大企業でないから・・・」
「任せられる管理者がいない・・・」
「フラットな組織をめざしているから・・・」
などという声が聞こえてきそうですが、基本的に3項目以外は経営者の仕事ではありませんので、そのような仕事に忙殺されているようでは会社の発展はあり得ません。

経営者であるあなたが、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」をきちんと打ち出し、社内に徹底するとともに、役割分担を明確にした上で権限を委譲しましょう。(こちらのコラムをご参照ください。 → https://www.musubu-consulting.jp/column27/

その上で、経営の根幹である「事業の選別・再構築(=リストラクチャリング)」「資金繰り改善を含む資金配分」「人材の最適化」をすることで、更なる発展を目指すことが可能となります。

ご留意いただきたい点としては、特に「事業の選別・再構築(=リストラクチャリング)」をする際に、是非とも「顧客の生の声」を聞いてから経営者として判断することです。間違っても、従業員・役員からの報告だけで経営者としての判断はしないようにしてください。

というのも、従業員・役員からの報告は、従業員や役員の思惑や期待というフィルターを通過してから経営者であるあなたに伝えられますので、「顧客の生の声」のままということはまずありません。

経営者であるあなたにとって、いい報告は生の声がそのまま伝えられることがあるかも知れませんが、悪い報告では「オブラート」に包まれたり、「悪い報告→いい報告」へと変換が無意識または故意的に行われるのが世の常なのです。

会社をよりよくするために、経営者のあなたが重要視しなければならない「悪い報告」が、「悪い報告」として伝わってこないのです。あなたがいくら、「悪いことは悪いこととして、正直に報告して欲しい。責任は経営者である私がとる。」と言ったところで、雇われの身である従業員や役員は変わりません。

逆の立場を想像してみてください。あなたが従業員または役員で、あなたのような経営者に対して「悪い報告」をする場面を想像してみてください。相手はあなたの生殺与奪権を握っているのです。いくら正直に話そうと思ったとしても、無意識に「悪い報告→いい報告」へと変換される可能性があることを否定できますか?

経営者として正しい判断をするために必要な情報、特に「顧客の生の声」は経営者であるあなたが現場に出向いてヒアリングするしかないのです。これまで社長室からあまり現場に出たことがないようであれば、これを機会にどんどん現場に出て行ってください。

こんな混沌とした時代だからこそ、経営者であるあなたが現場にどんどん出て行き、「顧客の生の声」をヒアリングして、商品やサービスの改善だけでなく、「事業の選別・再構築(=リストラクチャリング)」をどのようにすべきかの判断材料としてください。

いかにあなたが名経営者であったとしても、判断材料が正しくなければ、ベストな経営判断はできません。経営者のあなたが、現場で「顧客の生の声」に触れることで、あなたの会社の商品・サービスをどのように改良すれば、社会にとって更なるメリットをもたらすのかがわかるはずです。

そして、今後注力していく事業は何のための事業なのか、誰のための事業なのかなどについて、あなたが経営者として判断し、従業員・役員に実践させるのです。なお、二代目経営者の方は、社内改革についてこちらのコラムにまとめましたのでご参照ください。 → https://www.musubu-consulting.jp/column38/

あなたは経営者として、このような混沌とした時代に、どのような経営をされていくおつもりでしょうか?